クレアチンは、筋トレで「あと1回」を挙げやすくするサプリです。重量は数kg伸びる程度で、飲んですぐ別人になるわけではありません。健康な人が決まった量を飲むかぎり、腎臓への悪影響は研究で見つかっていません。
クレアチンってそもそも何?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正体 | 筋肉が力を出すときのエネルギー補給を助ける成分です。アミノ酸の仲間で、サプリのほか、肉や魚にも含まれています |
| 体の中では | もともと体の中にもあります。1日に必要な1〜3gの半分ほどは体内でつくられ、残りは肉や魚などの食事から摂っています。体内のクレアチンの約95%は筋肉にあります |
| はたらき | ダッシュや重いバーベルを挙げるような、一瞬の力を出す場面で働きます。すぐ使える電池があるとすれば、クレアチンはその充電を助ける材料です |
| プロテインとの違い | プロテインは筋肉の材料、クレアチンは力を出すエネルギーの補給役です。役割が違います |
| 選ぶなら | 研究でいちばん使われているのは「クレアチンモノハイドレート」です。ほかの形のほうが優れているという証拠は、今のところありません |
クレアチンの効果
クレアチンで確認されている効果と、まだはっきりしないことを分けて見ていきます。
ベンチプレスで平均+1.43kg、スクワットで平均+5.64kg。飲んだ人のほうが重くなった。
筋トレ期間中の筋力の伸びは、飲んだ人が平均20%、飲まなかった人が平均12%(22件の研究をまとめた結果)。
飲むだけで筋肉が増えるわけではない。筋トレと組み合わせて、成長を後押しする。
一部で良い結果が出ているが、全体としてはまだ結論が出ていない。
体重が少し増える。一度に大量に飲むと、おなかの調子が悪くなることがある。
研究によって種目や期間、参加者が違うため、数字は平均するとこの程度、という目安です。参考にした研究を見る
エビデンス:どんな研究で分かったの?
筋力・頭の働き・安全性について、複数の研究をまとめた分析があります。
- 筋トレの重量 — 69件・約1,900人分の研究をまとめた結果、ベンチプレスもスクワットも、飲んだ人のほうが重くなった。平均の差は大きくないが、統計的には、飲んだ人のほうが伸びていた。
- 筋力の伸び — 過去22件の研究をまとめると、筋トレ期間中の筋力の伸びは、飲んだ人が平均20%、飲まなかった人が平均12%。
- 記憶や注意力 — 16件・約500人分の研究では、記憶・注意・処理の速さの一部で、飲んだ人が上回った。ただし123人で6週間試した別の試験では、大きな改善はなかった。全体としては、まだ結論が出ていない。
- 肉や魚を食べない人 — もともと筋肉中のクレアチンが少ないため、飲んだあとの増え方が大きくなることがある(ベジタリアン18人の試験)。
- 女性 — 研究は男性が中心で、女性では差が確認できない項目もあった。女性を対象にした研究がまだ少なく、効果の大きさは不確かな部分がある。
危なくないの?
健康な人が決まった量を飲むかぎり、腎臓などへの悪影響は研究で見つかっていません。
- 長く飲んでも? — 小規模ながら最長5年の摂取を追った研究でも、健康な人の腎臓への悪影響は見つかっていない。
- 高タンパクな食事と一緒でも? — 筋トレ経験者26人が12週間飲んだ試験で、腎臓の働きを詳しく調べても、飲まない人との差はなかった。
- よくある副作用 — 体重が少し増える(水分が筋肉に入るため)。一度に大量に飲むと、おなかの調子が悪くなることがある。
- 注意 — 研究は健康な人が対象。腎臓の病気がある人、薬を飲んでいる人は、飲む前に医師に相談する。大量に飲むと、人によっては肝臓や腎臓に負担がかかりうる、とも指摘されている。
いつ、どれだけ飲めばいい?
基本は、毎日3〜5gを続ければ十分です。
- 量 — 1日3〜5g。毎日。胃腸が弱い人は、ローディングをせず、この量から始める。
- ローディング(最初にたくさん飲む方法) — 最初の5〜7日だけ1日20g前後(数回に分ける)、そのあとは3〜5g。筋肉中のクレアチンを早く増やしたいときの方法。
- ローディングは必要? — 必須ではない。1日20gを6日間飲むと筋肉の中のクレアチンは約20%増え、1日3gでも28日かけて同じ約20%まで増えた。急がなければ、3〜5gを毎日続ければ1か月ほどで同じ状態になる。
- いつ飲む? — 運動の前でも後でも、はっきりした差は確認されていない。毎日続けやすい時間で構わない。
- やめると? — 数週間で元の量に戻る。
どれを買えばいい?
商品名より、成分表示を確認します。
- 「クレアチンモノハイドレート」と書いてある — 研究でいちばん使われている種類。まずこれ。
- 「吸収が速い」「効果が高い」とうたう別の形 — モノハイドレートより優れている、という確かな証拠はまだない。
- 「クレアチン入りブレンド」 — クレアチンが何g入っているか分かりにくいものがある。単体のパウダーを計量スプーンで量るほうが確実。
- 認証・純度検査 — ドーピング検査に対応した第三者認証や、純度検査の公開は、品質の目安になる。
- 値段 — モノハイドレートは、安くても品質が低いとは限らない。高い別の形を選んでも、効果が上乗せされる証拠はない。
持病がある人、薬を飲んでいる人は、商品を比べる前に主治医に確認してください。
よくある質問
プロテインとは何が違うんですか?
プロテインは、筋肉の材料になるタンパク質です。クレアチンは、力を出すためのエネルギー補給を助ける成分で、役割が別です。効果が確かめられているのは、筋トレと組み合わせたときです。
飲むと体重は増えますか?
増えることがあります。多くは、筋肉の中に水分が入るための一時的な変化で、脂肪が増えたわけではありません。ローディング中は目立ちやすいので、体重だけで太ったと決めず、見た目や体脂肪率も見てください。
女性でも効果はありますか?
出る可能性はありますが、男性と同じ大きさとは言い切れません。研究は男性が中心で、女性では差が小さい、または確認できない項目もありました。女性を対象にした研究はまだ足りず、追加の研究が求められています。
ベジタリアンやヴィーガンは飲んだほうがいいですか?
変化を感じやすい可能性があります。肉や魚を食べない人は、筋肉の中のクレアチンがもともと少なめです。ベジタリアン18人の試験では、飲んだあとの増え方が、そうでない人より大きくなりました。ただし対象はベジタリアンで、ヴィーガンの研究ではありません。
ローディング(最初の数日に多めに飲む方法)は絶対に必要ですか?
必須ではありません。1日3〜5gを毎日続ければ、1か月ほどで同じ状態になります。急ぐ理由がなければ、しなくて大丈夫です。
持病がある場合や、薬を飲んでいる場合は?
飲む前に、必ず医師に相談してください。ここで紹介した安全性の研究は、健康な人が対象です。腎臓の病気がある人や、腎臓に影響する薬を飲んでいる人には、そのまま当てはまりません。
参考にした研究と資料
| 研究(発表年) | 規模・対象 | 分かったこと |
|---|---|---|
| Kreider ら(2017)/国際スポーツ栄養学会の公式見解 | これまでの研究をまとめた公式見解 | クレアチンモノハイドレートは、運動の成績を上げるサプリの中で最も効果的なものの一つ。長期の摂取でも、健康な人でも患者でも安全で、体が受け入れやすいとしている |
| Kazeminasab ら(2025) | 69件の研究・1,937人分をまとめた分析 | 筋トレと組み合わせると、ベンチプレス系の種目で平均+1.43kg、スクワットで平均+5.64kg。どちらも統計上ははっきりした差。レッグプレスと握力ではっきりした差なし |
| Rawson & Volek(2003) | それ以前の22件のトレーニング系研究をまとめたレビュー | 筋力の伸びは、クレアチン群が平均20%、偽薬群が平均12% |
| Forbes ら(2022) | 脳とクレアチンに関するレビュー | 脳しんとう・軽度の脳の外傷・うつ症状をやわらげる可能性を示す研究を紹介する一方、脳の神経が傷んでいく病気への効果は根拠が乏しいとしている |
| Xu ら(2024) | 16件の研究・492人分(20.8〜76.4歳)をまとめた分析 | 記憶・注意・処理の速さの一部で、クレアチン群が偽薬群を上回った。2025年に訂正あり。研究数・参加者数はまだ少ない |
| Sandkühler ら(2023) | 健康な成人123人、偽薬と入れ替えて比べた試験 | 1日5gを6週間飲んでも、考える力や短期の記憶のテストではっきりした差なし。別の分析方法では小さなプラスの可能性も示唆。副作用を訴えた割合は、クレアチン群が偽薬群の約4倍 |
| Poortmans & Francaux(2000) | 副作用に関する既存研究のレビュー | 小さな集団で最長5年の摂取を追った研究では腎臓への悪影響は見つからず、健康な人に悪影響の証拠はないとした。ただし大量に摂ると、人によっては肝臓や腎臓に負担がかかりうるとして、定期的な確認は必要と述べている |
| Lugaresi ら(2013) | 高タンパク食をとる筋トレ経験者26人、12週間の試験 | 腎臓の働きを詳しく調べても偽薬群と差がなく、ほかの検査項目もすべて変化なし |
| Hultman ら(1996) | 健康な男性、筋肉の一部を採って調べた実験 | 1日20gを6日間飲んだ群も、1日3gを28日間飲んだ群も、最終的に筋肉の中のクレアチンが約20%増えて、同じ上限に達した |
| Ribeiro ら(2021) | 運動の前と後の摂取タイミングに関するレビュー | 運動後の摂取が運動前よりやや有利とする研究もあるが、条件のばらつきが大きく、タイミングで結果が変わるという確かな証拠はまだない |
| Smith-Ryan ら(2021) | 女性を対象にした、年代別のレビュー | 女性は男性より体内のクレアチンが少ない傾向。閉経前の女性は筋力・運動能力の向上に効果的とみられ、閉経後の女性は多めの量で筋肉の量や働きによい影響が出る可能性がある |
| Burke ら(2003) | ベジタリアン18人・そうでない人24人、8週間の試験 | ベジタリアンは飲む前の筋肉の中のクレアチンが少なかったが、飲んだあとの増え方は、そうでない人より大きかった |
研究ごとに、対象者の年齢・飲んだ量・期間が違うため、数字を単純に並べて比べることはできません。なお、Kazeminasab ら(2025)・Forbes ら(2022)・Smith-Ryan ら(2021)の論文には、著者の一部がクレアチン関連企業の助言者を務めた、または資金や現物の提供を受けたと明記されています。とくに頭の働きの研究は参加者がまだ少なく、規模の大きな研究で結果が変わる可能性があります。
※ 写真はAIによる生成イメージです