リバースペックデック
リバースペックデックは、こう動かす
効く場所:三角筋(あわせて働く:僧帽筋)
外せない点:
- 座る向きとシート高さ
- シート高が合わないとき
- 胸当て・パッド
- 肩甲骨をどう扱うか(目的で決める)
別名:Reverse Pec Deck、Rear Delt Machine、リバースペックデッキ、リアデルトマシン、リアデルトイドマシン、リバースフライマシン(ペックデックに逆向きに座り、腕を後ろへ開くタイプ。ジムによっては胸を開くペックフライ用のマシンに逆向きに座って使う形になっているため、専用機がない場合は胸のマシンを探して逆向きに座れる構造か確認してください)
やり方
セットアップ
- 座る向きとシート高さ:マシンに胸を向けて座り、グリップを握ったときに腕が肩の高さでまっすぐ前へ伸びるようシート高を合わせます。グリップの高さはマシン側で決まっているので、動かせるのは自分の座る高さだけです。シートが低すぎると体に対してグリップが相対的に高くなり、肘が肩より上を通って僧帽筋の上のほうへ。逆に高すぎるとグリップが相対的に低くなり、腕の軌道が肩より下を通って背中側(広背筋・大円筋)へ負荷が逃げます。効かない原因のほとんどはこの一手で決まります。目安:グリップを握ったとき、腕が肩の高さでまっすぐ前に伸びる。
- シート高が合わないとき:段階式のシートで自分の体格に合う位置がない場合の実務的な対処が3つあります。座面にタオルやパッドを重ねて高さを足す、浅く座って上体をわずかに前に置く、グリップを握る位置を上下にずらす。腕や胴の長い人ほどこの調整が要ります。目安:妥協した設定でも、肘が肩より上がっていない。
- 胸当て・パッド:胸をパッドにしっかり預けます。パッドは体を固定するためのもので、ここが浮くと反動が使えてしまい、この種目を選んだ意味が薄れます。目安:動作中に体が反動で前後に揺れない。
- 肩甲骨をどう扱うか(目的で決める):「寄せる」「寄せない」で解説が真っ二つに割れている論点ですが、これは目的が違うだけです。三角筋後部に絞りたいなら肩甲骨は固定寄りにして、腕だけが弧を描くように開く。上背部を含めて姿勢を整えたいなら、肩甲骨を寄せる動きを許す。どちらかが間違いということはありません。目安:自分がその日どちらを狙っているか、始める前に決まっている。
重量の決め方
まず一番軽い重量(ピンを最上段)で1セット行い動きを覚える。次に「15回できて、まだ2〜3回余裕がある」重さまで1〜2段ずつ上げて探す。三角筋後部は小さな筋肉なので、他のマシンの感覚で重量を選ぶと必ず代償が入ります
この種目は重量を伸ばしていく種目ではありません。重くするほど反動と僧帽筋の代償が入り、狙いから外れるためです。進歩の軸は重量以外に4本あります。①回数を増やす(12回→20回)②開き切った位置で1〜2秒止める ③可動域を毎回同じ深さまで使い切る ④セット数か頻度を足す。重量を1段上げるのは、これらを満たしたうえで15回が余裕をもって同じ形でできるようになってからで十分です
動作
開始:腕を前に伸ばした状態から、肘の高さを肩と同じに保ったまま、腕で弧を描くように後方へ開き始める(肘を曲げ伸ばししない。曲げると上腕と前腕が主役に変わります)
呼吸:開きながら吐き、戻しながら吸う
終了:開き切った位置で一瞬止めてから、戻す局面も同じ速さで制御する。最終レップ後は腕をゆっくり前に戻し、重りを静かに着地させる
ジムでのマナー
- 使用後はグリップとパッドを拭く
- 重量ピンは差したままでよい
- マシンの前後どちら向きでも使うため、逆向きに座る人のため座面を汚さない
- シート高を変えたら、次に使う人のために極端な位置のままにしない
よくある間違いと直し方
- 肩の後ろではなく、首の付け根(僧帽筋)に効いてしまう:まずシート高です。肘が肩より高い位置を通っているなら、シートが低すぎます。1段上げて、グリップが肩の高さに来るようにしてください。それでも消えないなら、肩をすくめたまま開いていないか確認。さらに残るなら重量過多で、体が重さを持ち上げようとして肩ごと上がっています
- 上腕や前腕ばかりが疲れる:肘の角度が動いているのが典型です。この種目で肘は「軽く曲げた角度のまま固定」で、曲げ伸ばしする関節ではありません。また、グリップを強く握り込むと前腕が先に張ります。指をかける程度に持ち、腕は棒だと思って肩から動かしてください
- 背中の広い部分に効いて、肩に来ない:シートが高すぎて腕の軌道が肩の高さより下を通っているか、後方へ引きすぎて肩甲骨を寄せる動きに置き換わっています。シートを1段下げ、開く範囲を、腕が体の横のラインを少し越えるあたりまでにとどめてみてください
- 開いたときに腕が下がってしまう:肩の高さを最後まで保てる重量まで下げる。腕が下がるのは、その重さを肩の後ろだけでは支えられていないサインです
- 反動をつけて開いている:胸をパッドに預けたまま、ゆっくり開閉できる速さまで落とす。戻す局面で重りを落とさず、同じ速さで送り返せているかを基準にしてください
- 腕が長く、始めの位置ですでにハンドルが体の後ろにある:体格とマシンの寸法が合っていない状態で、いちばん効かせたい「伸ばされる範囲」を丸ごと捨てています。グリップを持つ位置を内側にずらす、浅く座る、機種によってはスタート位置の調整レバーを使う。どうしても合わないマシンなら、ケーブルやダンベルの代替種目のほうが狙いに近づきます
- 筋肉痛が来ないので効いていない気がする:筋肉痛の有無は成長の指標になりません。三角筋後部はとくに効いている感の出にくい部位です。判断するなら、動作の終点で肩の後ろに限局した張りが出るか、首の付け根や前腕に張りが逃げていないか、を見てください
- 肩の前側が痛む:シートが低すぎて肘が肩より上を通っていないか、後方へ開きすぎていないかを確認してください。シートを1段上げ、開く範囲を狭めても痛みが続く場合は中止し、医療機関に相談してください
- 首の付け根が痛む:肩をすくめたまま開いている可能性が高い状態です。シート高を1段上げてグリップを肩の高さに合わせ、肩を下げた姿勢を作り直してください。改善しない場合は中止し、医療機関に相談してください
痛みが出たときは
- 肩が痛いとき:開き切った位置で腕が下がると肩関節に負担が移ります。腕を肩の高さに保ったまま開ける範囲に収め、痛みが続く場合は医療機関に相談しましょう
- 首・肩の上が痛いとき:肩甲骨を寄せすぎると僧帽筋の上部に力が集中します。肩を下げたまま、腕を横に開く動きだけで動作してください
リバースペックデックとは
ペックデックに逆向きに座り、腕を体の後ろへ開いて三角筋後部を鍛えるマシンです。リバースペックデッキ、リアデルトマシン、リバースフライマシンなど呼び名が定まっておらず、ジムによってはペックフライのマシンを逆向きに使うだけ、という置き方をしていることもあります。まずマシンを見つけるところで詰まる人が多い種目です。姿勢がシートとパッドで固定されるため、ベントオーバーリアレイズのように反動を使えない構造になっているのが最大の利点。補助者がいなくても、小さな筋肉を安全に限界近くまで追い込めます。上体を前傾させ続ける必要がないぶん、腰への負担も抑えられる。ただし裏を返せば、シート高が体に合っていないと逃げ道がありません。効かないまま終わる人の大半は、動作ではなくこの設定でつまずいています。鍛えられるのは、肩を横から見たときの丸みや、後ろから見たときの厚みに関わる部位です。
この種目で変わること
- 三角筋後部の筋力・筋量の向上:肩の後ろ側は押す種目では鍛えにくいため、意識的に狙う価値のある部位です
- 僧帽筋中部の関与:腕を後ろへ開く過程で肩甲骨を寄せる筋肉も働きます
- 前に出た肩を引き戻す筋力づくり:胸の種目に偏ったときの前後バランスを整える役割を果たします
効かせ方のバリエーション
- グリップを深く握るとより広い可動域で行える機種もある
- 機種差について。グリップが縦に固定されたもの、横向きのもの、回転して角度が変わるものがあり、それぞれ肩のひねり具合が変わるため関与する筋肉のバランスも少し変わります。ジムのマシンが解説の写真と違っていても、肘の高さを肩と揃える・肘の角度を動かさない・胸をパッドから浮かせない、この3つが守れていれば機種の違いは大きな問題になりません
- 肩甲骨を寄せるか寄せないかは、目的で決めます。三角筋後部に負荷を集めたいなら肩甲骨は固定寄りにして腕だけが弧を描くように開く。姿勢改善や上背部づくりが目的なら、寄せる動きを許してよい。解説によって正反対のことが書かれている論点ですが、どちらが筋肥大に優れるかを断定できる根拠は現時点ではありません
- マシンが空いていない・ジムにない場合は、ケーブルリアデルトフライ、フェイスプル、ベントオーバーリアレイズが代替になります。ただし置き換えると失われるものが2つある。ひとつは胸パッドによる固定で、反動が使えてしまうこと。もうひとつは負荷のかかり方で、とくにダンベルのベントオーバーリアレイズは腕が水平に上がりきった位置(筋肉がいちばん縮んだ位置)で負荷が最大になり、伸ばされた位置ではほとんど負荷がかかりません。マシンとは負荷の分布が違うため、同じ重量・同じ回数で単純には置き換えられません
- 肩の日と背中の日、どちらでやるかは順番の影響を受けます。背中の日にローイングや懸垂の後で行うと三角筋後部がすでに疲れており、十分な力が残りません。逆に肩の日の最後だと集中力も残量も落ちがちです。三角筋後部を伸ばしたい時期なら、背中の日の最初か、肩の日でも早い順番に置くほうが結果につながりやすいでしょう
- 効いているかどうかの手がかりは3つ。動作の終点で肩の後ろに限局した張りが出ているか。首の付け根が張るなら負荷が僧帽筋の上のほうへ逃げています。前腕がパンプするなら握り込みが強すぎます。なお筋肉痛の有無は成長の指標にならないため、痛くならないことを心配する必要はありません
- 回数の目安は12〜20回×2〜4セット。他の種目より高めの回数が選ばれやすいのは、重量を上げると代償が入りやすい部位だからで、回数側で刺激量を確保するという考え方によります。回数そのものより、全レップで肘の高さが保てているかを優先してください
- 巻き肩や猫背の改善に役立つかどうかは、断定できません。姿勢に関わる上背部の筋肉を使う種目ではありますが、姿勢は筋力だけでなく日常の過ごし方や柔軟性など複数の要因で決まります。姿勢を目的にする場合は肩甲骨を寄せる使い方を選び、他の種目や生活習慣と組み合わせて考えるのが現実的です
- この種目が三角筋後部「だけ」の種目とは言い切れません。肘の高さや肩の開き角度によって三角筋中部や上背部の関与は変わります。設定次第で効く場所が動く種目、と理解しておくのが正確です
混んでいたら・比べたい
長所・短所
この種目ならではの強み
- 姿勢が安定し反動を使わず追い込める:座って固定された姿勢になる。リアデルトフライで起きやすい反動が入らない。
- ひとりでも安全に限界まで攻められる:軌道が決まっている。補助者なしで三角筋後部を攻め切れる。
- 肩甲骨の動きを抑えて後部に集中できる:パッドが上体を支える。肩甲骨を寄せる動きに逃げにくい。
弱みと、その付き合い方
- 肩甲骨まわりの連動は鍛えにくい:上体が固定された姿勢のため、自然に働く連動は使われない。
こう付き合う:連動も欲しい日はリアデルトフライ(リアレイズ)へ。 - 肩甲骨を寄せすぎると僧帽筋に流れる:腕を開くときに寄せすぎると、三角筋後部から刺激が外れる。肩甲骨は動かさずに腕だけ開く。
- マシンが空いていないと行えない:専用の設備が要る。混雑時はフェイスプルに切り替える。
ひとことで:反動なしで三角筋後部だけを攻められる。
よくある質問
- フェイスプルとどう使い分けますか?
- どちらも肩の後ろを鍛えますが、リバースペックデックは軌道が固定されるためフォームが崩れにくく、フェイスプルは肩甲骨を寄せる動きが強く入ります。マシンが空いているほうで構いません。
- 何回・何セットが目安ですか?
- 単関節種目のため、12〜15回×3セット程度が一般的な目安です。反動を使わずに開ける軽さを優先してください。
- シートの高さはどう合わせますか?
- グリップが肩とほぼ同じ高さに来る位置が目安です。低すぎると腕が下がって背中の種目に近づき、狙いがぼやけます。
- 肩の後ろに効いている感じがしません
- 肩甲骨を寄せる動きが強すぎると僧帽筋が主役になります。肩甲骨は寄せずに、腕だけを横に開く意識で軽い重量から試してみてください。