フレンチプレス(EZバー)
フレンチプレス(EZバー)は、こう動かす
効く場所:上腕三頭筋
外せない点:
- 座り方
- ベンチの高さと背もたれ
- バーの構え
- 肘の向き
やり方
構えをつくる
- 座り方:背もたれが垂直に近いベンチに座り、背中を背もたれにつけます。足は床にしっかり着け、膝より少し前に置きます。目安:腰が反りすぎない姿勢で座れている。
- ベンチの高さと背もたれ:背もたれの上端が、下ろしたバーやプレートに当たらない高さかを、空のバーで先に確かめます。当たる場合は、背もたれの低いベンチを使うか、座る位置を調整します。目安:頭の後ろまで下ろしても、バーやプレートがどこにも触れない。
- バーの構え:EZバーの内側の曲がりを、手の甲が上を向く順手で握ります(頭の後ろへ下ろすと、手のひらが天井の方を向きます)。バーを太ももに乗せて座り、胸の前まで引き上げてから、肘を伸ばして頭上へ押し上げます。重い場合は、補助者に後ろから手渡してもらいます。目安:肘が完全にロックされず、わずかに緩みがある。
- 肘の向き:上腕を耳の横に立て、肘の先端(とがった骨)が天井を向くように締めて固定する。目安:肘が外側に大きく開いていない。
下ろす・押し上げる
上腕を耳の横に立てたまま、肘から先だけを倒すようにして、バーを頭の後ろへ下ろしていきます。肩に痛みが出る手前で切り返し、無理に深く下ろさず、肘を伸ばしてバーを頭上へ押し上げます。押し上げるときに肘が前へ倒れてくると、肩の種目に近づきます。セットを終えたら、肘を伸ばしてバーを頭上に戻し、胸の前、太ももの上、の順に下ろします。
呼吸:下ろしながら吸い、押し上げながら吐く
目安:肘が外側に開いておらず、腰が反ってバーを押し上げていない。下ろしたときも押し上げたときも、上腕の位置がほとんど変わっていない
回数・重さの目安
- 筋肥大:8〜12回×3〜4セット 「10回できて、まだ2〜3回余裕がある」程度の重量を目安に。下ろす深さより肘の固定を優先しましょう。
- 筋力向上:6〜8回×3〜4セット 肩・肘への負担が増えやすい種目のため、フォームが崩れない重量にとどめてください。
- 引き締め・持久力:15回前後×2〜3セット 軽めの重量でテンポよく、肘の固定を意識して繰り返しましょう。
- 重量以外の進め方:3つの軸で進歩を測る ①同じ重量で、肘の位置を動かさずに下ろせる深さが増えたか ②いちばん深い位置で1秒止めても切り返せるか ③下ろす局面を3秒にしても回数が保てるか。肘や肩に負担が集まりやすい種目なので、重量を上げるのはこの3つを満たしてからにします。
安全とマナー
- 肘や肩に違和感がある場合は下ろす深さを浅くする。重量を反動で挙げようとしない
- 頭の後ろで重量を扱うため、頭上で支えきれなくなったら無理に押し上げず、補助者に受け取ってもらう。補助者がいない場合は、補助なしで構えから戻すまで確実にこなせる重量にとどめる
- 下ろしたバーが頭に当たらないよう、動作中は頭の位置を動かさない
よくある間違いと直し方
- 肘が外側に開いてしまう:肘の先端(とがった骨)を天井へ向けて締める意識を持ち、鏡や動画でチェックする。握る位置を変えて、肘が開きにくい方を選ぶ
- 腰を反らせて押し上げる:背もたれ付きのベンチを使い、腹圧を入れて腰の反りを抑える
- 下ろしすぎて肩に痛みが出る:肩に痛みが出る手前で切り返し、無理に深く下ろさない
- 押し上げるたびに肘が前へ倒れ、肩が疲れる:肘を伸ばしながら上腕ごと前へ動かして、肩の力で押しています。上腕は耳の横に立てたまま、肘から先だけを動かします。重量が重すぎて起きることが多いので、まず重量を下げてください
- バーが頭に当たりそうで、頭を前へ倒してしまう:頭を前へ倒すと首に負担がかかり、背中も丸まります。頭はまっすぐに保ち、バーの方を肘から先の角度で調整します。当たりそうな場合は、肘の位置を保ったまま下ろせる深さまでにとどめ、頭の方は動かしません
- 左右の肘の高さがそろわず、バーが傾く:左右の三頭筋の強さや、肩の柔らかさに差があると起きます。鏡で正面から確かめ、傾かずに下ろせる重量まで下げます。差が大きい場合は、ダンベルで片手ずつ行う日を作ると左右をそろえやすくなります
- 上腕の裏側に伸びを感じない:下ろす深さが浅いか、上腕が前へ倒れて頭上に立っていません。肘の位置を保ったまま、肩に痛みが出ない範囲で、バーが後頭部の高さを過ぎるあたりまで下ろせるかを軽い重量で確かめます
痛みが出たときは
- 肘が痛いとき:可動域の下端で反動的に止めていないか、肘が外に開いていないか確認してください。いちばん深い位置で弾ませず、ゆっくり切り返します。痛みが続く場合は自己判断で継続せず、医療機関に相談してください。
- 肩が痛いとき:下ろす深さを浅くし、肘の位置を固定するフォームを見直してください。違和感が続く場合は無理をせず、腕を頭上に上げずに行えるトライセプスプレスダウンなどに切り替え、痛みが続く場合は医療機関に相談してください。
- 首・腰が痛いとき:バーを避けようとあごを前へ突き出したり、腰を反らしたりしていないか確認してください。頭はまっすぐに保ち、背中を背もたれにつけたまま行います。痛みが続く場合は医療機関に相談してください。
フレンチプレス(EZバー)とは
フレンチプレスは、ベンチに座ってEZバーを頭上に構え、肘から先だけを頭の後ろへ下ろしてから押し上げる、上腕三頭筋の種目です。英語では EZ-bar French Press のほか、Seated Overhead Triceps Extension(シーテッド・オーバーヘッド・トライセプスエクステンション)とも呼ばれ、日本語ではシーテッドフレンチプレスと書かれることもあります。腕を頭上に上げると、肩をまたいでいる三頭筋の長頭が引き伸ばされるため、その伸びた位置から力を出す刺激が入りやすい種目とされています。ケーブルを使い、トレーニング未経験者を対象にした研究で、腕を頭上に上げた姿勢で行うエクステンションのほうが、腕を体の横に下ろして行うものより三頭筋が大きくなったという報告もありますが、種目の選び方だけで結果が決まるとまでは言い切れません。背もたれに背中を預けて座るため、立って行うより腰が安定しやすいのも特徴です。初級向けの種目ですが、頭上でバーを構える動作に慣れてから重量を上げてください。重さそのものより、肘の位置を動かさずに下ろせるかが質を左右します。
この種目で変わること
- 上腕三頭筋(特に長頭)への相対的に強いストレッチ刺激
- 両手で1本のバーを使うので、重い重量まで伸ばしやすく、伸びた位置での負荷を増やしていける
- 二の腕全体の筋量・筋力向上に寄与すると考えられています
- 肩関節を経由するストレッチにより、他のプレス系種目とは異なる刺激角度を確保
まだ難しいときは
物足りなくなったら
似た効果の種目
長所・短所
この種目ならではの強み
- 両手のバーで重量を伸ばしやすい:片手のダンベルより重い負荷をかけられる。長頭の量づくりに向く。
- 長頭を深く伸ばせる:頭の後ろまで下ろす。三頭筋のうち最も大きいとされる長頭に伸びる刺激が入る。
- EZバーで手首が楽になる:角度のついたバーを使う。ストレートバーより前腕のひねりが小さい。
弱みと、その付き合い方
- 肘が開くと狙いから外れる:頭上で支える姿勢は肘が開きやすく、負荷が肩へ寄る。肘を耳の横に固定する。
- 深く下ろしすぎると肩が痛む:可動域を求めて下ろしすぎると、肩関節へのストレスが増えるとされる。痛みの出ない範囲で止める。
- ひとりでは構えを作りにくい:重くなるほど、バーを頭上へ運ぶまでが難所になる。
こう付き合う:難しければオーバーヘッドエクステンションへ。
ひとことで:長頭を伸ばす定番。座って、肘を閉じたまま。
よくある質問
- スカルクラッシャーやライイングフレンチプレスとの違いは何ですか?
- どちらもEZバーを使った肘のエクステンション種目ですが、フレンチプレスは座って腕を頭上に上げ、頭の後ろまで下ろすため、肩をまたぐ長頭が強く引き伸ばされます。スカルクラッシャーはベンチに仰向けになり、額か頭の後ろの方へ下ろす種目で、腕の角度が浅いぶん長頭の伸びは小さくなる傾向があります。ベンチに寝て行うものを「ライイングフレンチプレス」と呼ぶことがあり、スカルクラッシャーとほぼ同じ種目を指すことが多いので、名前より「座るか寝るか」で見分けてください。
- ダンベルで行うオーバーヘッドエクステンションとはどう使い分けますか?
- ダンベル1個を両手で持つオーバーヘッドエクステンションは、手の向きを自由にでき、手首が楽な一方、重くなると持ちにくくなります。EZバーは両手で1本のバーを使うので、重い重量まで伸ばしやすいのが利点です。手首や肘の角度に不安があるならダンベル、重量を伸ばしていきたいならEZバー、と考えると選びやすいでしょう。
- 何回・何セットが目安ですか?
- 筋肥大目的なら8〜12回×3〜4セット程度が一般的な目安です。
- バーを頭上に構えるまでが大変です
- 重量が軽いうちは、バーを太ももに乗せて座り、胸の前へ引き上げてから頭上へ押し上げれば構えられます。重くなるとこの手順が難所になり、構える前に肩や肘を痛めるおそれがあります。その場合は補助者に後ろから手渡してもらうか、ケーブルオーバーヘッドエクステンションのように構えが楽な種目に切り替えてください。
- 肘や肩が痛くなるのですが大丈夫ですか?
- フォームが原因のことが多く、深い位置で弾ませている、重量が重すぎる、肘が外に開いている、の3つが重なると肘に負担が集まりやすくなります。回数を12〜15回に増やせる重量に下げ、いちばん深い位置でゆっくり切り返してください。それでも肘がつらい場合は、ケーブルオーバーヘッドエクステンションのように、動作の途中で負荷が急に変わりにくい種目に替える方法もあります。フォームを見直しても痛みが続く場合は無理をせず医療機関に相談してください。
- 肩が硬くて、腕を真上まで上げられません
- 腕が真上まで上がらないまま行うと、腰を反らして角度を補うことになります。その場合は、腕が少し頭の前にある位置で行い、下ろす深さも浅くします。長頭の伸びは小さくなりますが、腰や肩を痛めるよりは安全です。腕を頭上に上げる姿勢そのものがつらい場合は、スカルクラッシャーやトライセプスプレスダウンを使います。
- 立って行ってもいいですか?
- 立っても行えますが、頭上で重さを支える間に腰が反りやすく、体幹も支え続ける必要があります。背もたれに背中をつけて座るほうが腰が安定し、三頭筋に集中しやすくなります。立って行う場合は、お腹に力を入れ、膝を軽く緩めて、腰が反らない重量で行ってください。
- 効いているかはどう判断すればいいですか?
- 下ろしたときに上腕の裏側、脇の下に近い方まで伸びを感じ、セットの後半にそこが張ってくれば狙いどおりです。肘の関節そのものが痛む、肩の前が疲れる、という場合は、肘が開いているか、上腕が前へ倒れて肩で押しています。
- ストレートバーでもできますか?
- できますが、ストレートバーは手首の角度が完全な順手に固定されるため、頭上で手首や肘が窮屈に感じる人が多くなります。EZバーの曲がりは、その窮屈さを減らすための形です。ストレートバーで行う場合は、手幅を肩幅より狭くしすぎず、手首に違和感が出ない重量から始めてください。
- 毎日やってもいいですか?
- 上腕三頭筋は他のプレス系種目でも動員されるため、48時間程度は間隔をあけることをおすすめします。
- 三頭筋のほかの種目と組み合わせるなら、順番はどうしますか?
- ナローベンチプレスのように重い重量を扱う種目を先に行い、フレンチプレスはそのあとに入れるのが組みやすい順番です。三頭筋が疲れた状態で深く下ろすと肘に負担が集まりやすいので、先に行った種目で疲れが強い日は、重量を下げて行ってください。
鍛えられる筋肉
主働筋: 上腕三頭筋