筋トレは1回何分やればいい?45分に収める時間の計算式
結論:筋肥大なら5種目×3セットで43〜45分。高重量の日は72〜80分
所要時間を決めているのは、種目数とセット数とセット間の休憩の3つです。この3つが決まれば、かかる時間は自動的に出ます。筋肉を大きくしたい日なら5種目×3セットで43〜45分。ところが同じ5種目でも、高重量で筋力を狙う日は休憩を3〜5分取るので72〜80分かかります。目的が違えば答えも違う。どちらかが間違っているわけではありません。仕事帰りに寄って着替えて出るまで1時間しか取れない人と、休日に時間を気にせず入れる人では、こなせる量からして別ものです。
「1時間くらい」で予定を立てると、たいてい足りない
更衣室を出てフロアに立ち、今日のメニューを思い浮かべます。スクワット、ベンチプレス、ラットプルダウン、ショルダープレス、レッグカール。この5つなら1時間で終わるはずでした。ところがスクワットの3セット目で時計を見ると、もう25分。残り4種目は入りません。
検索して出てくる答えは、どこも「30分〜1時間が目安」で揃っています。ただ、その数字がどこから来たのかを書いた記事は見当たりません。目安を読んでも、自分のメニューが何分かかるかは分からないまま。
所要時間は数えれば出ます。何種目やるか、1種目に何セット組むか、セットの間に何分休むか。この3つが決まれば、あとは足し算。決めずに「45分でやる」と宣言しても、収まるかは運まかせです。
目的別・1回にかかる時間の目安
同じ5種目をやっても、目的が変われば所要時間は倍近く動きます。今日どの行にいるかを決めてから、下の内訳へ。「根拠の強さ」は、その数字がどれくらい確かなものかの目印です。
| その日の目的 | 組み方(種目×セット×休憩) | 1回の所要時間 | 根拠の強さ |
|---|---|---|---|
| 筋肉を大きくする | 5種目×3セット・休憩90秒〜2分30秒 | 43〜45分 | 幅あり |
| 高重量で筋力を伸ばす | 同じ5種目・休憩4〜5分(バーベル2種目は4セット) | 72〜80分 | 定説 |
| 時間がない日(マシン中心) | 3種目×3セット・休憩90秒〜2分 | 約26分 | 幅あり |
| ダンベルだけで済ませる | 3種目×3セット・休憩90秒 | 約24分 | 幅あり |
| 20分しか残っていない | 2種目×3セット・休憩90秒 | 約18分 | 幅あり |
| 移動と混雑待ち | どの行にも共通で乗る | 上の時間に0〜5分足す | 目安(研究なし) |
着替えの時間は入っていません。ラック待ちがあるなら、45分の予定は素直に55分と見ておくほうが当たります。それと、この分数を比べた対照試験はありません。「45分がベスト」ではなく「この組み方なら43〜45分かかる」と読んでください。
45分の中身|5種目を1分単位で並べる
計算式は、1回の所要時間=全体のウォームアップ+各種目ごとの〔準備時間+セット数×(挙上30秒+その種目の休憩)〕。挙上の30秒は1レップ3秒×10回で置いた便宜値で、このペースで動作するよう勧めているわけではありません。1レップの秒数は0.5〜8秒なら筋肥大に差が出ない、という前提での見積もりです。
| やること | セット×回数 | セット間の休憩 | ここまでの経過 |
|---|---|---|---|
| 全体のウォームアップ(自転車かトレッドミル) | — | — | 5分 |
| バーベルスクワット(ウォームアップセット3分込み) | 3セット×8〜12回 | 2分30秒 | 17分 |
| ベンチプレス | 3セット×8〜12回 | 2分 | 26分30秒 |
| ラットプルダウン | 3セット×8〜12回 | 90秒 | 33分30秒 |
| ダンベルショルダープレス | 2〜3セット×10〜12回 | 90秒 | 38分30秒〜40分30秒 |
| レッグカール | 2セット×10〜15回 | 90秒 | 43分〜45分 |
休憩の秒数は、この記事で決めたものではありません。複合種目は2〜3分、マシンと単関節は90秒前後という既存の目安を入れただけ。休憩がそのまま所要時間になります。5種目×4セットを全部3分休憩で組むと、20セット×3分30秒で70分、準備を足して80分前後。「45分でやっている」つもりのメニューが実は80分、という食い違いはここで起きます。
時間が足りない日の3つの型|26分・24分・18分
休憩を削るのは、いちばん割の合わない削り方です。後半で扱う重量が落ちて、その日の総量も減ります。削るなら種目数から。残り時間ごとの型を3つ。
バーベルが不安・ラックが埋まっている → 差し替えても所要時間は動かない
スクワットとベンチプレスは、置き換えても合計時間はほとんど変わりません。スミスマシンスクワットとレッグプレスは軌道が決まっているぶん、ウォームアップセットを1段減らせて1〜2分浮くくらい。押す種目はチェストプレス(マシン)でも同じです。
- スミスマシンスクワット(脚/初級)
- レッグプレス(脚/初級)
- ダンベルベンチプレス(胸/初級)
よくある落とし穴:マシンに替えて浮いた1〜2分で種目を足したくなりますが、足す先は週の回数のほうです。1回に詰め込むと後半のセットの質が落ちます。
30分しか残っていない → マシン中心の9セットで約26分
レッグプレス、チェストプレス、ラットプルダウンを各3セット。休憩はレッグプレスだけ2分、あとは90秒。挙上と休憩で19分30秒、ウォームアップと席の調整に6分ほど見て約26分。マシンだけで組むと時間が読めます。プレートの付け替えも順番待ちもありません。
- レッグプレス(脚/初級)
- チェストプレス(マシン)(胸/初級)
- ラットプルダウン(背中/初級)
よくある落とし穴:3台がフロアの端と端に散らばっていると、移動だけで毎回1〜2分。近い3台を選ぶだけで26分が24分になる。
ダンベルエリアから動きたくない → ダンベル3種目9セットで約24分
ゴブレットスクワット、ダンベルベンチプレス、ワンハンドダンベルロウを各3セット・休憩90秒。挙上と休憩で18分、準備と移動に6分ほど見て約24分。この型は、ラックの前から一歩も動かずに終わります。ダンベルを1組取れば3種目とも回せるので、見積もりが狂う原因である移動と待ち時間をここで消せます。
- ゴブレットスクワット(脚/初級)
- ダンベルベンチプレス(胸/初級)
- ワンハンドダンベルロウ(背中/初級)
よくある落とし穴:ゴブレットスクワットは、胸の前で持てる重さが上限になります。脚だけ物足りなくなってきたら、週のどこかでスクワットかレッグプレスの日を1回つくってください。
20分しかない → 押す1種目と引く1種目で約18分
チェストプレスとラットプルダウンを3セットずつ、休憩90秒で約18分。レッグプレスとダンベルベンチプレスでも同じくらい。2種目まで削ると「やった気がしない」ものですが、週の合計で見れば、行かなかった週より確実に積み上がります。
- チェストプレス(マシン)(胸/初級)
- ラットプルダウン(背中/初級)
よくある落とし穴:20分だからと休憩を30〜45秒まで詰めるのは、フリーウェイトの高重量ではやめてください。息が整わないまま複合種目に入ると、フォームの破綻がそのまま事故になります。短い休憩で回すならマシンと単関節種目に限ること。
3つの型に共通するのは、休憩の長さに手を付けていない点です。削ったのは種目数だけ。準備と移動の分数は実測の目安です。高血圧や心疾患で治療中の方、服薬中の方は、運動の内容と強度を主治医に確認してください。
削るなら、この順番で削る
45分の予定が30分になった日に、何から外すか。◎はまず削っていいところ、×は最後まで残すところです。
- 単関節の仕上げ種目を外す — 5〜6分浮く。◎ サイドレイズ、ダンベルカール、プレスダウン、レッグエクステンション、腹筋種目。この日だけ抜いても週の合計はほとんど動きません
- 3セットを2セットに落とす — 6〜8分浮く。◎ ただし週の回数で埋める前提。週2日のままセットだけ減らせば、その分だけ総量が減ります
- 複合種目を1つ減らす — 9〜10分浮く。○ 効き目は大きいが、その部位が丸ごと抜けます。次に来る日で拾えるなら問題なし
- セット間の休憩を削る — 3〜5分しか浮かない。× 20セット組んでも1セットあたり10秒ずつ。そのわりに後半で扱う重量が落ちます
- ウォームアップセットを削る — 2〜3分しか浮かない。× その日の1セット目をぶっつけで挙げるリスクに、まったく見合いません
浮く時間は上2つと下2つで大差ありません。ところが代償はまるで違う。前者は追加分が消えるだけ、後者は全種目の質が落ちます。
ジムでよく見るのは、時計を見てから急に休憩を詰め始める形です。1セット目と同じ重量が3セット目で挙がらなくなり、回数だけが減っていく。時間には間に合ったのに、記録には何も残っていません。
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「浮く時間」は上の45分メニューを基準にした数字です。
短い1回でも効果は出るのか|週で数えると答えが出る
条件つきで成立します。上の45分メニューを続けたとき、週で何セット積めるかを数えてください。
- 週2日通う場合 — 胸・背中・肩・大腿四頭筋がそれぞれ週6セット、ハムストリングスは週4セット。筋群あたり週10〜20セットという目安には届きませんが、トレーニング歴1年以内なら、ここからでも伸びていきます
- 週3日通う場合 — それぞれ週9セット、ハムストリングスは週6セット。週10セットの目安にほぼ届きます。45分でも週3回なら足ります
- 週1日だけの場合 — 週3セット。1回を延ばしても埋まりません。60分にして4セットにしても週4セット。もう1日つくるほうが早い
筋肥大を決めているのは、1回に何セット積んだかではなく、その筋群を週に何セット刺激したか。週の合計を揃えたまま何回に分けるかだけを変えた25研究の解析では、分ける回数による差は消えていました。1回を短くしても、週の回数で埋められるなら効果は保てます。埋めずに減らせば、減った分だけ伸びも小さくなりえる。時間を短くすること自体が効くわけではありません。
週10〜20セットという目安は、15件の研究をまとめた解析で週10セット以上のグループが5セット未満・5〜9セットより大きく伸びた、というところから来ています。
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週10〜20セットは幅を持った目安で、全員に当てはまる最適値ではありません。この分野の研究は若い健康な成人が対象の中心です。
高重量の日は、同じ5種目でも72〜80分になる
目的で答えが割れるのがここ。1セットあたりの時間に換算すると、差が見えます。
- 高重量の複合種目 — 1セット3分20秒〜5分20秒(挙上20秒+休憩3〜5分)
- 筋肥大狙いの複合種目 — 1セット2分30秒〜3分(挙上30秒+休憩2分〜2分30秒)
- 単関節種目・マシン種目 — 1セット1分30秒〜2分(挙上30秒+休憩60〜90秒)
- マシンと単関節で組むサーキット — 1セット1分〜1分30秒(挙上30秒+休憩30〜60秒)
重い重量を低回数で挙げる日の休憩は3〜5分。5回前後なので挙上は20秒ほどで、1セットは3分20秒から5分20秒。筋肥大狙いの2分30秒〜3分と比べて1セットあたり1〜2分の差で、20セット積めば20〜40分の差です。
45分メニューと同じ5種目のまま、バーベル2種目を4セット×5回・休憩4〜5分、残り3種目を3セット・3分にすると、合計は72〜80分。種目数は増えていません。増えたのは待っている時間だけ。「3分も座っていられない」と感じるなら、その日の目的は筋肥大側にあります。
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短い休憩で続けて回すサーキット的な組み方は、マシンと単関節種目に限ってください。フリーウェイトの高重量の複合種目には当てはめないこと。
「1時間を超えるとコルチゾールで筋肉が分解される」はどこまで本当か
長くやると逆効果、という説明を見たことがある人は多いはずです。正しい部分と行きすぎた部分が混ざっているので、分けます。
運動をすればコルチゾールは上がります。これ自体は事実で、エネルギーを動員するための急性のストレス応答。異常ではなく正常な反応で、通常は数十分で戻ります。慢性的に高い状態が続けば回復は妨げられますが、原因は量の積みすぎ、極端なエネルギー不足、睡眠不足のほうです。
一方で、「60分」という境目を示した研究は存在しません。1回の運動で上がったコルチゾールの高さが、数か月後の筋肥大や筋力の伸びを予測することもない。56名を12週間追った研究では、運動後のホルモンの上昇と筋力の伸びに関係が見つからず、コルチゾールはむしろ除脂肪体重の増加とわずかに正の相関でした。
長いセッションが伸び悩む理由は、ホルモンではなく、もっと現実的な3つです。後半のセットは疲労で質が落ちる。時間対効果が悪くなって続かなくなる。1回が長いぶん、週の回数を確保できなくなる。すでに60分や90分やっている人が今日からやめる必要はありません。記録が伸びているなら機能している組み方です。
急性のホルモン反応と長期の成果の関係についての記述で、慢性的な疲労やエネルギー不足の影響を否定するものではありません。眠れない、食欲がない、意図せず体重が落ちている。こうした状態が続く場合は医療機関にご相談ください。
45分に収めること自体を、目的にしない
最後に、この記事の数字がそのまま当てはまらない2つのケースを。
種目間の移動やマシンの調整に時間がかかるのは、年齢が上がれば当たり前です。シートの高さを合わせ、ピンを差し、座り位置を確かめる。これを時計に追われて急ぐと、転びます。収まらないなら種目を1つ減らせばいい。動作のほうを速めるのが、いちばん危ない詰め方です。
始めたばかりの人には、逆に有利な話があります。23研究491名の解析では、2分超の休憩が必要だったのは経験者で、未経験者は60〜120秒で筋力が伸びていました。1セットの消耗が小さいためで、結果として短い時間で組める。初心者だから休憩を削っていい、ではありません。
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所要時間そのものを比べた対照試験は見当たらず、この記事の数字は逆算した計算結果です。持病や服薬がある方は、種目数やセット数を増やす前にかかりつけ医に確認してください。
よくある質問
筋トレは1回何分やればいいですか?
その日の目的で変わります。筋肉を大きくしたい日は5種目×3セットで43〜45分、高重量で筋力を狙う日は同じ5種目でも72〜80分。着替えと混雑待ちは含みません。
筋トレ1回の種目数は何種目が目安ですか?
45分に収めるなら5種目×3セット。複合種目を1つ増やすごとに9〜10分、単関節種目なら4〜6分伸びます。
筋トレ30分は短すぎますか?
短すぎません。マシン中心の3種目×3セットなら約26分で9セット積めます。短くした分を週の回数で埋められるなら効果は保てますが、埋めずに減らせば伸びも小さくなりえます。
時間がないとき、セット間の休憩を短くしてもいいですか?
割に合いません。20セット組んでも浮くのは3〜5分で、そのわりに後半で扱う重量が落ちます。削るなら単関節の仕上げ種目から。1種目で5〜6分浮きます。
45分の筋トレでも筋肥大しますか?
週3回なら各部位9セット前後になり、目安の週10〜20セットにほぼ届きます。週2回だと6セットどまりですが、トレーニング歴1年以内ならここからでも伸びます。
1時間以上の筋トレはコルチゾールで逆効果ですか?
「60分」という境目を示した研究はありません。1回の運動で上がったコルチゾールの高さは、数か月後の筋肥大や筋力の伸びを予測しません。長いと伸び悩むのは、後半の質の低下と続かなくなることが理由です。
ウォームアップは何分見ておけばいいですか?
全体のウォームアップに5分、1種目目の複合種目のウォームアップセットに3〜4分。2種目目以降は1〜2分で足ります。
筋トレの時間に着替えや移動は含まれますか?
この記事の数字には含めていません。種目の入れ替えと移動で1〜2分、混雑していれば待ちで0〜5分。ここには研究がなく、実測の目安です。
週1回しか行けません。1回を長くすれば足りますか?
1回を延ばしても、回数の不足は埋めきれません。5種目×3セットの型なら週1回は各部位3セット。60分に伸ばして4セットにしても週4セットで、目安の週10セットには届きません。
参考文献・一次資料
| 資料(発表年) | 種類 | この記事で使った内容 |
|---|---|---|
| Schoenfeld、Ogborn、Krieger(2015年・Sports Medicine) | 系統的レビュー・メタ分析 | 1レップの所要時間は0.5〜8秒の範囲なら筋肥大に差が出ない。挙上時間を1セット30秒・20秒と置いた計算の前提 |
| Schoenfeld、Ogborn、Krieger(2017年・Journal of Sports Sciences) | メタ分析(15研究) | 筋群あたり週10セット以上が、5セット未満・5〜9セットより筋肥大が大きい。週の合計で数える根拠 |
| Schoenfeld、Grgic、Krieger(2019年・Journal of Sports Sciences) | メタ分析(25研究) | 週あたりの合計セット数を揃えると、週何回に分けるかによる筋肥大の差は意味のある大きさにならない |
| Grgic ら(2018年・Sports Medicine) | 系統的レビュー(23研究491名) | 筋力の最大化には経験者で2分超の休憩が必要。未経験者は60〜120秒で足りた |
| Schoenfeld ら(2016年・J Strength Cond Res) | 比較試験 | 経験者21名・8週間。3分休息の群が1分休息の群より筋力も筋厚も伸びた。休憩を削るのが割に合わない根拠 |
| West と Phillips(2012年・Eur J Appl Physiol) | 観察研究(56名・12週間) | 運動後のホルモンの上昇と筋力の伸びに有意な相関なし。コルチゾールは除脂肪体重の増加とわずかに正の相関(r=0.29) |
この記事の所要時間は、既存の休憩時間の目安と挙上時間の便宜値から計算したものです。1回のトレーニング時間そのものを比べた対照試験は見当たらず、この記事の数字が実験で最適と示されたわけではありません。移動時間と混雑待ちについては研究がなく、実測に基づく目安として扱っています。
※ 写真はAIによる生成イメージです