全身法と分割法はどっちが筋肥大に効く?週2〜5日別の正解

公開日:2026-07-25 更新日:2026-07-25

全身法(バーベルスクワット) VS 分割法(ダンベルカール)

結論:効果は同じ。決め手は「週に何日通えるか」

週の合計セット数が同じなら、全身法と分割法の筋肥大効果に差はありません。直接比較14研究のメタ分析(2024年)と67研究の解析(2026年)が同じ結論です。ただし「どちらでもいい」という話ではない。週2日しか通えない人と、週5日で細かく分けたい人では、同じ筋肥大狙いでも組み方の正解が変わります。選ぶ基準は「どちらが効くか」ではなく「週に何日通えるか」。週2日は全身法、週3日は全身法か上下2分割、週4日は上下2分割、週5日以上は分割法(PPL)が基本形。例外は1RMを最速で伸ばしたい場合だけ、全身法寄りが有利です。

全身法と分割法とは? まず「頻度」と「ボリューム」を分ける

全身法(フルボディ)とは、1回で胸・背中・脚・肩・腕をひととおり鍛える組み方。分割法(スプリット)は体を分けて日を変えて順に鍛える組み方で、上下2分割や、押す・引く・脚のPPLが代表です。

混同されやすい2語を分けます。頻度は「筋群を週に何回刺激するか」、ボリュームは「週あたり何セット行うか」。同じ週10セットでも、週2回なら1回5セット、週1回なら1回10セット。違いは配り方だけです。

「全身法のほうが伸びる」とされた研究の多くは、頻度を上げた群のほうが合計セット数も多いものでした。つまり頻度ではなく量の効果。以下は量を揃えた比較だけを見ます。

「週に何日通えるか」から逆算して型を決める

上から順に読んでください。最初に当てはまった行が、いまのあなたの答えです。

  1. 週に何日通えるかまだ決まっていない/続けられるか自信がない → 迷ったら(全身法(週2日)から始める)
    全身法は1回休んでも、その週のうちに全筋群を最低1回は刺激できる。分割法は1日休むとその部位が丸ごと1週間空きます。予定が読めないうちは、この差が効きます。
  2. 週2日が上限(仕事や家庭の都合でこれ以上は増やせない) → 週2日(全身法A/B を交互に)
    週2日を分割法に使うと、ひとつの筋群を鍛えるのは週1回だけ。同じ量を1回にまとめると後半の質が落ちます。全身法なら週2回刺激できます。
  3. 週3日を安定して確保できる → 週3日(全身法A/B/C(上下2分割を週3日で回してもよい))
    かける時間に対する効果が最も高い頻度。A/B/Cなら1回4種目・50分前後で、各筋群を週2〜3回刺激できます。迷ったらここ。
  4. 週4日確保できる。1回のトレーニングは短めにしたい → 週4日(上下2分割(上A/下A/上B/下B))
    週4日を全身法で回すと種目数が増え、後半で出力が落ちます。上下2分割なら1回4〜5種目に絞れ、各筋群を週2回刺激できます。中級者の標準形。脚トレの翌日に階段がつらいタイプなら、下の日の翌日は上の日ではなく休養を入れてください。
  5. 週5日以上通える。特定の部位を重点的に伸ばしたい → 週5日〜(分割法PPL+上下(Push/Pull/Legs/上/下))
    PPLで全身を一巡したうえ弱点部位の日を2日足せます。ただし日数自体に効果はなく、増えた日を合計セット数の上積みに使うのが条件。

特定種目の1RMを最速で伸ばす場合だけ答えが変わり、全身法寄りが有利です。もうひとつ。理屈のうえでは全身法のまま続けてもいいのですが、扱う重量が伸びてくると疲労の抜け具合から分割法に行き着く人が多い、というのが実際のところです。

週に通える日数別・答えの早見表

確保できる日数が決まれば組み方も決まります。左端から詳細メニューへ飛べます。

合計セット数を揃えた前提での頻度別の推奨ルーティン
週の頻度推奨ルーティン1週間の流れ(例)こんな人に向く
週2日全身法A/B月=全身A、木=全身B始めたばかりの人、予定が読めない人
週3日全身法A/B/C(上下2分割も可)月=全身A、水=全身B、金=全身C初〜中級者。効率が最も高い
週4日上下2分割(上A/下A/上B/下B)月=上A、火=下A、木=上B、金=下B1回を60分前後にしたい中級者
週5日分割法PPL+上下月=Push、火=Pull、木=Legs、金=上、土=下弱点に専用日を割く中〜上級者

曜日は入れ替えて構いません。同じ部位を2日続けて高強度で鍛えないことと、合計セット数を筋群あたり10〜20に収めることだけ守ります。なお表は理屈の並びです。週3日の全身法が最も効率的でも、脚の日をやる気力が残らない週は分割法のほうが結局続く、ということは起こります。

全身法と分割法を5つの観点で比べる

効果に差がないなら、選ぶ材料は実行面だけ。量を揃えた前提で並べます。

合計セット数を揃えた前提。所要時間は1回4〜6種目・インターバル2〜3分の目安
比較の観点全身法分割法判断のポイント
筋群あたりの頻度週2〜3回週1〜2回合計セット数が同じなら、頻度が変わっても筋肥大は変わりません。
1回の所要時間60〜90分(5〜6種目)45〜75分(4〜6種目)1回を短くしたいなら分割法。ただし通う回数が増え、週の総拘束時間は同じ。
週の合計ボリューム確保積み上げやすい1回に集中しやすい1回で10セット以上行うと後半の質が落ちます。量を増やす局面は全身法が有利。
回復の管理毎回全身が疲れる部位ごとに休ませられる全身法は中1日以上空けます。分割法は部位ごとに休ませられる反面、1日休むと1週間空きます。
向いている人初心者、週2〜3日の人週4日以上の人、弱点を作りたい人初心者に勧める理由は効果差ではなく、フォーム習得が早いことです。

前提は共通です。筋群あたり週10〜20セット、各セットは限界の手前2〜3回(RIR 2〜3)まで、数週間単位で重量か回数を伸ばす。これが揃えば組み方の差は出ません。ここは注意。高重量スクワットの翌日は全身に疲労が残り、上半身の日でも挙上の質が落ちます。表のとおりに詰め込まず、休養日を1日挟むほうが現実的。

エビデンスの要点|いま分かっていること

筋肥大の差は「なし」

分割法と全身法を直接比べた14研究・392名のメタ分析(2024年)。量が同じなら結果は同じ。

筋肥大を決めるのは週の総セット数

67研究・2,058名の最新解析(2026年)。頻度そのものの上乗せはほぼゼロ。

筋力だけは頻度が効く:+15kg vs +8kg

同じ量を週4回に分けた群がスクワット1RMで約2倍伸びた(2024年・22名)。

各研究の対象・条件・結果と出典は記事末尾の参考文献・主要研究一覧へ

週2/3/4/5日の具体メニュー

レップ数は8〜12回、各セットは限界の手前2〜3回(RIR 2〜3)で止める前提。マシンが空いていなければ同じ動作方向の種目へ。曜日の当てはめは混雑も考えます。月曜夜のパワーラックは混みがち。その日はダンベル種目メインの回を持ってくる手もあります。

週2日:全身法A/B

AとBを交互に、間は中1日以上空けます。1回5種目・約60分。平日は30分しか取れない、という人は種目を4つに削って構いません。削るのは腕の単関節種目から。

1週間の流れ:月=全身A / 火=休 / 水=休 / 木=全身B / 金=休 / 土=休 / 日=休

全身A(3〜4セット×8〜12回)

全身B(3〜4セット×8〜12回)

週の合計セット数:胸・背中・肩で週6〜8セット、脚は3〜4セット。目安の10〜20には届きませんが歴1年以内なら十分。

週3日:全身法A/B/C

種目を3日に散らし、各筋群を週2〜3回刺激しつつ1回4種目に抑えます。約50分。

1週間の流れ:月=全身A / 火=休 / 水=全身B / 木=休 / 金=全身C / 土=休 / 日=休

全身A(3〜4セット×8〜12回)

全身B(3セット×6〜12回)

全身C(3〜4セット×8〜12回)

週の合計セット数:主要な筋群で週8〜12セット。懸垂(チンニング)ができなければ全身Cはラットプルダウンへ。

週4日:上下2分割(上A/下A/上B/下B)

上下を分けて1回4〜5種目に絞り、各筋群を週2回刺激。50〜60分。ベンチとスクワットを同じ日にやりたい人には向きません。その2種目を並べたいなら週3日の全身法へ。

1週間の流れ:月=上A / 火=下A / 水=休 / 木=上B / 金=下B / 土=休 / 日=休

上A(3〜4セット×8〜12回)

下A(3〜4セット×8〜12回)

上B(3〜4セット×8〜12回)

下B(3セット×6〜12回)

週の合計セット数:大胸筋・広背筋は週8〜11セット、大腿四頭筋とハムストリングスは週12前後。腕は直接3〜6セットだが、プレスとプルの動員を含めば実質10前後。

週5日:分割法PPL+上下

PPLで全身を一巡し、上・下の2日を調整枠に。PullとLegsは連日にしません。45〜60分。

1週間の流れ:月=Push / 火=Pull / 水=休 / 木=Legs / 金=上 / 土=下 / 日=休

Push(3〜4セット×8〜12回)

Pull(3セット×6〜12回)

Legs(3〜4セット×8〜12回)

上(調整日)(3セット×10〜15回)

下(調整日)(3セット×10〜15回(プランクは30〜60秒キープ))

週の合計セット数:大胸筋10・広背筋12・三角筋12・大腿四頭筋13・ハムストリングス12前後で、いずれも10〜20内。

種目の入れ替え前に、重量か回数が伸びているか確認を。止まって初めて入れ替えます。

筋肥大を決めるのは頻度ではなく、週の合計セット数

2026年の67研究・2,058名のメタ回帰が、この分野で現在最大の解析です。

筋肥大を説明する主な要因は週の合計セット数で、何回に分けても期待値はほとんど動きませんでした。頻度は「多い量を質を保って実行するための配り方」として間接的に効きます。

そしてセット数を増やすほど伸びは鈍ります(収穫逓減)。日数を増やすこと自体を目的にせず、まず筋群あたり週10〜20セットを確保できる配り方を選んでください。

筋力(1RM)だけは頻度が効く|筋肥大と筋力で答えが違う

筋肥大では頻度の寄与がほぼ確認できない一方、筋力では違う結果が出ます。

同じメタ回帰では、筋力の伸びに頻度がプラスに働く事後確率がほぼ100%と報告されました。Pedersenら(2024)は、トレ歴6か月以上の22名を8週間、下肢4種目・週の総量を揃えたうえで、4種目を週1回にまとめる群と1種目ずつ週4回に分散する群に分けています。外側広筋の筋厚に差はない一方、スクワット1RMは分散群+15kg、集約群+8kg(群間p=0.01)。

分散したほうが疲労の浅い状態で質の高いセットを重ねられることと、神経系の適応が理由とみられます。挙上スキルの習熟には同系統の動作に週複数回触れるほうが有利なので、BIG3の記録を最短で伸ばすなら全身法寄りを選ぶ理由があります。

「週2回が48%優位」という通説は、すでに更新されている

いまも引用される「週1回より週2回が効果量0.30対0.49で大きい」には続きがあります。

この数字は2016年のメタ分析のものですが、対象研究には週2回の群のほうが合計セット数も多いものが混ざり、頻度と量を分離できていません。

同じ著者らは2019年、量を統制した25研究であらためて解析し、合計セット数を揃えると頻度差は実質的に消えると報告しました。2016年の数値が誤りではなく、新しい解析で解釈が更新されたということです。

「初心者は全身法」「減量期は全身法」の2つの通説を検証する

本記事も初心者に全身法を勧めますが、理由を「よく育つから」とするのは不正確です。

未経験の女性50名を12週間追跡したPedersenら(2022)は最大規模の比較ですが、筋量・筋力とも差は出ませんでした。勧める理由は、主要種目に週2〜3回触れてフォーム習得が早く、1日崩れても週内で取り返せること。実行の確実性の話です。

減量期はCarneiroら(2024)が同量の比較で、除脂肪量は両群とも維持された一方、体脂肪量が全身法で0.775kg減・分割法で0.317kg増と報告しています。ただし単一の研究で、減量を左右する最大の要因が食事である点も変わりません。

週何日まで増やしていい? 公的な推奨と研究の限界

頻度を増やしたい人に2つ補足します。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は筋トレを週2〜3日と推奨していますが、これは生活習慣病の予防を基準にした推奨で、筋肥大の基準ではありません。

研究群にも限界があります。多くは8〜12週間と短く、参加者は数十名規模で若年男性に偏っています(約79%とする解析もある)。「差がない」は「差を検出できていない」です。

よくある質問

全身法は毎日やっていいですか?

やめておきましょう。毎回すべての主要な筋群を使うので、連日だと回復しないまま次の刺激が乗ります。中1日以上空けて週2〜4日。毎日ジムに行きたいなら分割法です。

週1日しかジムに行けない場合は?

全身法の一択です。分割法に使うと、ひとつの筋群を鍛えるのが3〜4週間に1回に。週5〜8セット程度が現実的ですが、続ける価値はあります。

分割法は週2日でも成立しますか?

上下2分割なら成立します。ただし各筋群を鍛えるのは週1回になり、同じ量を1回にまとめるぶん後半の質が落ちます。週2日は全身法A/Bが無難。

全身法と分割法は途中で切り替えていい?

むしろ推奨です。繁忙期に入って週2日になったら全身法へ、余裕が出たら分割へ。基準は「今後1〜2か月で週何日確保できるか」だけ。合計セット数は保ってください。

BIG3だけの全身法でもいいですか?

土台としては十分。ただ、肩幅と腕を気にするなら話は別です。三角筋の中部と上腕二頭筋は動員が少ないので、サイドレイズとダンベルカールを各3セット足しておきます。

1筋群あたり週何セットが目安?

週10〜20セットが目安です。1セットは限界の手前2〜3回まで追い込んだものを指します。増やすほど伸びは鈍り、20超は割に合いません。

筋肉痛が残っているときはずらすべき?

押すと痛む程度でフォームを保てるなら、重量を1〜2割落として予定どおり行って構いません。フォームが崩れるなら、その部位を外して別の日と入れ替えを。

参考文献・主要研究一覧

全身法と分割法(または頻度)を比較した主要研究。量を揃えた比較を中心に抜粋
研究(発表年)対象条件筋肥大筋力
Ramos-Campo ら(2024)14研究・392名のメタ分析分割法 vs 全身法差なし差なし
Pelland ら(2026)67研究・2,058名のメタ回帰頻度と量を分離量で決まる。頻度の寄与はほぼゼロ頻度に効果あり(事後確率ほぼ100%)
Schoenfeld ら(2019)25研究のメタ分析週1〜4回・量を統制量を揃えると頻度差は消える頻度の効果は小さい
Pedersen ら(2024)経験者22名・8週同量で週1回集約 vs 週4回分散差なし(外側広筋厚)スクワット1RM 分散+15kg/集約+8kg(p=0.01)
Pedersen ら(2022)未経験の女性50名・12週全身法 vs 分割法差なし差なし
Zaroni ら(2019)経験者・8週週5日の全身法 vs 分割法一部の部位で全身法が優位差なし
Gomes ら(2019)経験者・8週Zaroniとほぼ同設計差なし差なし
Carneiro ら(2024)減量中のRCT同量で比較(体脂肪量 全身法-0.775kg/分割法+0.317kg)除脂肪量は両群とも維持報告なし(主要評価項目外)

数値は各研究の条件下での結果です。同じ設計でも結果は割れるため、単独の研究よりメタ分析を優先してください。

※ 写真はAIによる生成イメージです