バーベルヒップスラストのフォームイメージ
BARBELL HIP THRUST

バーベルヒップスラスト

脚(大臀筋) 難易度:初級 🏋️ バーベル(オリンピックバー)
Barbell Hip Thrust

肩をベンチに乗せ、脚の付け根に置いたバーベルごと腰を突き上げる種目。股関節を伸ばしきる位置で重さがかかり、お尻(大臀筋)に力を入れやすい種目です。

バーベルヒップスラストは、こう動かす

効く場所:大臀筋(あわせて働く:ハムストリングス・大腿四頭筋)

動かす範囲:お尻が床に着く手前 〜 肩と膝が一直線

外せない点:

  • 突き上げる
  • 頂点で腰を反らない
  • 顎を引いたまま

やり方

セットアップに手間がかかる種目です。バーの当て方・パッド・ベンチの高さ・バーを脚に乗せる手順の4つで、やりやすさがほぼ決まります。ここを雑にすると、動作より先に痛みが来ます。

ベンチの高さと背中の当て方

  • 床から40cm前後の、動かないベンチを使う。一般的なフラットベンチがおおむねこの高さ。小柄な人は、ステップ台など少し低い台のほうが合わせやすいことがある
  • ベンチが滑る場合は、長い辺を壁や固定された器具に付ける。突き上げた瞬間にベンチがずれると、体ごと床へ落ちる
  • 肩甲骨の下の端あたりをベンチの縁に乗せる。首や肩の上の方で乗せると、突き上げたときに体がベンチの上を頭の方へ滑り、頭が宙に浮いて首が力む

バーを脚に乗せる手順

  • 床に座り、脚を伸ばしてバーの下に通し、脚の付け根まで転がして寄せる
  • 直径約45cm(20kgのバンパープレートなど)のプレートを付ければ、多くの人は座った脚の上をバーが通る高さができる
  • 小さいプレートでは脚が通らない。軽いうちは両手でバーを持ち上げて乗せ、重くて乗せられないならスミスマシンヒップスラストや専用マシンを使う

バーの位置とパッド

バーは脚の付け根の折り目の真上、骨盤の出っ張りより足の方に置きます。厚手のバーパッドを巻き、足りなければ折ったヨガマットやタオルを重ねます。両手は腰の外側でバーを握り、突き上げてもバーが頭の方へ転がらないように押さえます。骨に1点で食い込む感じがあるなら、位置かパッドが合っていません。

足の位置

足は腰幅から肩幅で、つま先はやや外へ。突き上げた頂点で脛がほぼ垂直になり、膝の真下にかかとが来る前後位置を探します。足を体に近づけるほど太もも前、遠ざけるほど太もも裏の関与が増えると考えられています。足幅や股関節の形で合う位置は変わるので、お尻を使いやすい位置を探してください。

体格や柔軟性による調整

  • 脚が長い人:同じ足の位置でも膝の角度が小さくなりやすい。頂点で脛が垂直になるまで、足をさらに体から遠ざける
  • 股関節が硬い人:足幅を少し広げ、つま先をやや外へ向けると、頂点まで股関節を伸ばしやすくなる
  • 太もも前が張りやすい人:足を遠ざけ、かかとで床を押す意識を強める
  • お尻が大きく、バーが安定しない人:パッドを太めのものに替え、手の幅を少し広げてバーを押さえる

突き上げる:お尻を締めながら股関節を伸ばします。頂点で体が肩から膝まで一直線になったら、1秒ほど止めます。

頂点で腰を反らない:高さを出そうとして腰を反ると、負荷がお尻から腰へ移ります。反りが出るなら重さを落としてください。

顎を引いたまま:首を反らせて力むと、視線と一緒に骨盤の向きが変わります。視線は斜め前へ。

突き上げる前に、あごを軽く引いてみぞおちを締め、かかとで床を押します。上体と頭はひとかたまりで動かし、頂点では視線が膝の方を向くのが目安です。下ろすときは股関節から折りたたみ、お尻が床に着く手前で切り返します。床で弾ませると反動になり、床に着けて休むとそのたびに負荷が抜けます。呼吸は、下ろしながら吸い、突き上げながら吐きます。重い重量では、突き上げる前に吸って腹圧を固め、頂点を過ぎてから吐きます。

回数と重さの目安

  • 筋肥大:8〜12回×3〜4セット。あと2〜3回できる余力を残し、毎回頂点で1秒止められる重さを上限にする
  • 筋力向上:4〜6回×3〜5セット。パッドを厚くし、両手でバーを脚の付け根に押さえてから始める
  • 引き締め・持久力:15〜20回×2〜3セット。軽めの重量でテンポよく、頂点での締めを毎回確かめる

重さ以外の伸ばし方

重さが止まったら、頂点で止められているかを先に確かめてください。止められないまま重さだけ伸ばすと、高さを腰の反りで稼ぐ形になりやすくなります。重さのほかに、次の4つで進められます。

  • 頂点で止める時間を1秒から3秒へ延ばす
  • 下ろす局面を3秒かける
  • 片脚で行う
  • 同じ重さでの回数を増やす

よくある間違いと直し方

  • お尻ではなく太もも前に効く:足が体に近すぎる。頂点で脛が垂直に近くなるところまで、足を体から遠ざける
  • 太もも裏がつりそうになる、太もも裏ばかり張る:足が遠すぎるか、つま先側で押している。足を少し体に寄せ、かかと全体で床を押す
  • 突き上げると体がベンチの上を頭の方へ滑る:ベンチに乗せている位置が高すぎる。肩甲骨の下の端あたりまで下げる
  • 片側のお尻にだけ効く、バーが傾く:バーが脚の付け根の中央にないか、足の位置が左右で違う。構えのたびに足の位置と手の幅を左右で確かめる
  • 下ろすたびにお尻を床に着ける:床で弾ませると反動になり、床に着けて休むとそのたびに負荷が抜ける。お尻が床に触れる手前で切り返す
  • お尻に効いている感じがしない:頂点で止めずに通過していることが多い。重量を2〜3割落とし、頂点で3秒止めて、お尻の下の方が硬くなるかを手で触って確かめる

痛みが出たとき

  • 首:頂点で顎が上がっていないか、ベンチに乗せる位置が高すぎて頭が宙に浮いていないかを確かめる
  • 腰:頂点で腰を反って高さを稼いでいないかを確かめ、お尻を締めて股関節を伸ばしきる意識に変える。それでも痛むなら重量を下げる
  • 骨盤(バーの当たり):パッドを厚くする、バーを脚の付け根の折り目へ数cmずらす、重量を下げる
  • 膝:足が体に近すぎると膝の前に負担が寄りやすい。足を遠ざけて脛を垂直に近づける

いずれも、痛みが続く場合は自己判断で続けず、整形外科などの医療機関に相談してください。

安全のために

  • ベンチは動かないものを使い、滑る場合は壁に付ける
  • プレートは留め具で固定する。突き上げた瞬間にプレートがずれると、バーが傾く
  • セットが終わったら、お尻を床に下ろしてからバーを脚の上で転がして外す。頂点の姿勢からバーを横へ落とさない
  • 高重量ほど、誤ったフォームでの首・腰への負担が大きくなる。重量よりフォームの正確さを優先する

バーベルヒップスラストとは

肩甲骨の下あたりをベンチに預け、脚の付け根に乗せたバーベルごと腰を突き上げて下ろす。これがバーベルヒップスラストです。単にヒップスラストとも呼ばれ、英語では Barbell Hip Thrust。お尻の大臀筋が主役で、太ももの裏と前も働きます。

スクワットやデッドリフトでもお尻は使われますが、それらは体を起こす動作の一部としてです。この種目は股関節を伸ばす動きを取り出し、そこへ直接重さを乗せます。股関節を伸ばしきる位置に近づくほど重さが強くかかるので、しゃがむ種目とは負荷のかかり方が違います。

動作の範囲が短く、上体を立てて支える仕事もないので、重さのわりに腰への負担は小さく収まりやすい種目です。ただし頂点で腰を反って高さを稼ぐと、その前提は崩れます。

グルートブリッジ・スミスマシンとの違い

グルートブリッジは肩を床に着けたまま行う種目です。肩が床にあるぶん腰を下ろせる深さが浅く、動く範囲が短くなります。重りを乗せず、または軽い重さで動きを覚えるならグルートブリッジ、重さを乗せて進めるならヒップスラスト、という使い分けが一般的です。

スミスマシンヒップスラストは、バーの通り道が決まっているので、バーを乗せる手順が簡単で、バーが転がる心配もありません。自分で通り道を決めるバーベルのほうが、足や体の位置を自由に合わせやすい面があります。準備に手間取るならスミスマシン、と考えてかまいません。

お尻を狙って重さを乗せたい人、しゃがむ種目ではお尻に力が入る感覚をつかみにくい人に向きます。反対に、混んだジムで毎回ベンチとバーを組む手間が取れないなら、スミスマシンや専用マシンのほうが続けやすいでしょう。

効き方について言えること

「お尻だけに効く」「バーベルスクワットよりお尻が大きくなる」とまでは言い切れません。筋肉の電気的な活動はバーベルスクワットより大きかったという報告がある一方、数週間の実験で筋肉の太さの変化を比べると、はっきりした差が出なかった報告もあります。部位によってはバーベルスクワット側の変化がやや大きかったという報告もあります。どちらが上かより、続けやすいほうを選ぶ考え方で十分です。

器具がそろわないときに失われるもの

自重やダンベルでも同じ動きはできます。失われるのは、重さを少しずつ足していける幅です。自重は回数と止める時間で、ダンベルは片脚で行うことで負荷を上げられますが、脚の力が伸びてくると、どちらも頭打ちになりやすくなります。ベンチが無い場合はグルートブリッジになり、動く範囲が短くなります。

長所・短所

この種目ならではの強み

  • お尻に力を入れる感覚をつかみやすい:股関節を伸ばしきる位置で負荷が最大になる。大殿筋に力が入る位置で重さがかかる。
  • 腰や膝への負担が比較的小さい:背中を支えた状態で行うので、スクワットのように背骨を上から押す荷重がかからない。
  • 初心者でも早い段階から重量が伸びる:動作の範囲が狭く、バランスの要素も小さい。数字が動きやすい。

弱みと、その付き合い方

  • セッティングに手間がかかる:ベンチ・バー・パッドを毎回組む必要があり、混んだジムでは場所も取る。
    こう付き合う:準備が面倒な日はグルートブリッジで自重から。
  • バーが骨盤に当たって痛い:重量が上がるほど、パッドなしでは骨盤の骨に食い込む。厚手のパッドを必ず挟む。
  • 頂点で腰を反らせて代償しやすい:高さを出そうとして腰を反ると、尻ではなく腰が働いてしまう。肋骨を締めて骨盤から動かす。

ひとことで:パッドは必須。高さではなく、締め切る位置を狙う。

よくある質問

ヒップスラスト、バーベルヒップスラスト、グルートブリッジは違うものですか?
ヒップスラストは肩をベンチに乗せて腰を突き上げる種目の総称で、バーベルを使うものをバーベルヒップスラストと呼びます。グルートブリッジは肩を床に着けたまま行う種目で、動く範囲が短くなります。動きを覚えるならグルートブリッジ、重さを乗せて進めるならヒップスラスト、という使い分けが一般的です。
ベンチの高さはどれくらいがいいですか?
床から40cm前後が目安で、一般的なフラットベンチがおおむねこの高さです。高すぎると背中の当たる位置が首の方へずれ、低すぎると下ろせる深さが減ります。どの高さでも、ベンチが滑らないことが先です。
バーが骨盤に当たって痛いです。
厚手のバーパッドを巻き、足りなければヨガマットやタオルを重ねてください。バーの位置は骨盤の出っ張りの上ではなく、脚の付け根の折り目の真上です。それでも痛むなら、バーの位置を数センチずらすか、重さを落とします。痛みを我慢して続ける理由のない種目です。
バーを脚の上に乗せるのが大変です。
直径の大きいプレートを付ければ、座った脚の上をバーが通る高さができるので、脚の付け根まで転がして寄せられます。小さいプレートしかない場合は、軽い重量なら両手で持ち上げて乗せます。重くて乗せられないなら、スミスマシンヒップスラストや専用マシンを使うほうが安全です。
お尻ではなく太ももの前に効きます。
足の位置が体に近すぎます。頂点で脛が垂直に近くなるところまで前へ出してください。逆に太もも裏ばかり張るなら、足が遠すぎます。
腰が痛くなります。
頂点で反って高さを稼いでいる可能性が高い状態です。あごを引き、みぞおちを締めたまま一直線で止める意識に変え、それでも痛むなら重さを下げます。痛みが続く場合は医療機関に相談してください。
首を痛めそうで怖いのですが、注意点はありますか?
頂点で顎が上がり首を反らせると、首に負担がかかりやすくなります。あごを軽く引き、上体と頭をひとかたまりで動かしてください。背中をベンチに乗せる位置が高すぎて頭が宙に浮いていないかも確認します。違和感が続く場合は中止し、医療機関に相談しましょう。
何回・何セットが目安ですか?
あと2〜3回は突き上げられる余力を残して8〜12回を3〜4セット。頂点で1秒止められる重さが上限です。
効いているかどうか、どう確かめればいいですか?
頂点で止めたとき、お尻の下の方を手で触って硬くなっていれば、お尻に力が入っています。セットの後に張りを感じる場所が腰や太もも前なら、反りや足の位置を見直してください。
ダンベルでも代わりになりますか?
軽い重量ならなります。ダンベルは、持ち手が体の左右方向を向くように脚の付け根に横たえ、両端のおもりを手で押さえます。ただ重くなるほど乗せにくく安定しないため、同じくらいの重さを扱い続けるのは難しくなります。重さを伸ばしたい場合はバーベルかマシンに移ります。
バーベルスクワットと同じ日に組めますか?
組めます。お尻を狙う日なら、バーベルスクワットのあとに置くと、脚の疲れが残っていても行いやすい種目です。順番を逆にすると、バーベルスクワットで扱える重量が落ちやすくなります。

鍛えられる筋肉

主働筋: 大臀筋

協働筋: ハムストリングス・大腿四頭筋