CHEST-SUPPORTED DUMBBELL ROW
チェストサポートダンベルロー
背中(広背筋)
難易度:初級
💪 ダンベル
Chest-supported Dumbbell Row
インクラインベンチに胸を預けて行うロウ種目。反動が使えず腰への負担も小さいため、背中に集中して追い込みやすい種目です。
チェストサポートダンベルローは、こう動かす
効く場所:広背筋(あわせて働く:僧帽筋・上腕二頭筋)
外せない点:
- ベンチ角度・姿勢
- 胸を当てる位置
- 足の置き方
- ダンベルの構え
- 頭・首
やり方
構えをつくる
- ベンチ角度・姿勢:インクラインベンチを30〜45度程度に設定し、胸をベンチに預けてうつ伏せになる。目安:胸がベンチにしっかり密着し、腰が反っていない。
- 胸を当てる位置:ベンチの上端が鎖骨の少し下に来るように体をずらします。上に出すぎると首と肩に力が入り、下すぎるとダンベルがベンチの脚に当たります。目安:腕をまっすぐ垂らしたとき、ダンベルがベンチにも床にも触れない。
- 足の置き方:足は床につま先か足裏をつけ、体がずり落ちないよう軽く踏ん張ります。ベンチの座面を使う場合は、膝を座面に乗せるか、座面をまたいで立ちます。目安:ダンベルを引いても体の位置が動かない。
- ダンベルの構え:両手にダンベルを持ち、腕を下にまっすぐ垂らす。目安:肩甲骨が寄っておらず、開いた状態からスタートできている。
- 頭・首:首はニュートラルに保ち、ベンチの先端から覗き込みすぎない。目安:首や肩に力みが入っていない。
引く・戻す
肩甲骨を寄せながら、肘を後ろに引き上げるようにダンベルを引きます。胸の横あたりまで引き切ったら、肩甲骨を開きながらゆっくりダンベルを戻します。肘の通り道で、効く場所が変わります。肘を体に沿わせて腰のほうへ引くと広背筋、肘を体から斜めに離して(真横までは開かない程度に)引くと、肩甲骨まわりと肩の後ろ側が働きやすくなると考えられています。
呼吸:引きながら吐き、戻しながら吸う
目安:反動をつけず、肘が体から大きく外れる方向に動いていない(広背筋を狙う基本の形の場合)。引いている間も胸がベンチから離れていない
回数・重さの目安
- 筋肥大:10〜12回×3〜4セット 「10〜12回できて、まだ2〜3回余裕がある」重量から始め、反動が使えない分フォームの質を重視しましょう。
- 筋力向上:6〜8回×3〜4セット 体幹の反動が使えないため、両手ベントオーバーダンベルローに比べて扱える重量は小さくなります。無理な高重量は避けましょう。
- 引き締め・持久力:15回前後×2〜3セット 軽めの重量で肩甲骨の寄せと開きを丁寧に反復しましょう。
- 伸び悩んだときの進め方:重さ以外に4本の軸がある ①引ききった位置で1〜2秒止める ②戻す動作に3秒ほどかける ③腕が伸びきるところまで毎回下ろす ④片手ずつ交互に引く。この種目は反動が使えないので、止める・ゆっくり戻すといった工夫が、そのまま背中の負荷の上乗せになります。
安全とマナー
- ベンチから体がずり落ちないよう、安定した設置角度を確認してから行う
- 首を反らしすぎない
- ダンベルはベンチに胸を預けてから床から拾い、終えるときも胸を預けたまま床へ下ろす
よくある間違いと直し方
- 肘だけを曲げて引いている(腕主導になる):肘を曲げる前に肩甲骨を寄せる意識を持ち、背中で引く感覚を掴む
- 首を反らして頭を上げすぎる:視線を斜め下に置き、首はニュートラルなラインを保つ
- ダンベルを戻す際に肩甲骨を開ききらない:戻す動作もゆっくり行い、広背筋のストレッチを感じるところまで戻す
- 引くたびに胸がベンチから浮く:上体を反らして引いている状態で、この種目の利点である「反動が使えない」が失われています。胸をベンチに押し付けたまま引ける重量まで下げてください。浮くのは多くの場合、最後の数回です。浮いた回は数えないと決めておくと、重量選びが正直になります
- 背中より握力が先に尽きる:ダンベルを握りしめるほど前腕が疲れ、背中に集中しにくくなります。握る力は落とさない程度にとどめ、引く意識は肘に置きます。それでも握力が先に尽きるなら、手首に巻いてダンベルと手をつなぐ補助具(リストストラップ)を使う方法があります
- 引ききった位置で肩の前が詰まる、盛り上がる:肘を体より後ろへ引きすぎると、肩の前側が前へ押し出されやすくなります。肘が体の横のラインを少し越えたところで止め、肩を下げたまま折り返します
- 胸の骨や肋骨が痛くて集中できない:ベンチの硬さで胸が圧迫されている状態です。タオルを畳んで胸の下に敷く、胸を当てる位置を少しずらす、ベンチの角度を変える、のいずれかを試してください
- 左右のダンベルの高さがそろわない:片側の背中が先に疲れているか、弱い側を体のひねりで補っている状態です。胸で体を固定できるこの種目でも、肩を上げて高さを合わせることはできてしまいます。弱い側が引ききれなくなった回でセットを終え、強い側に合わせて回数を足さないようにします。左右の差がこれで縮むとまでは言い切れませんが、差を広げない進め方にはなります
痛みが出たときは
- 肩が痛いとき:肘を体から大きく外して引いていないか確認し、肘を体に近い軌道で引くようにしましょう。痛みが続く場合は医療機関に相談してください。
- 首が痛いとき:頭を上げすぎて首に力みが入っていないか確認し、視線を下に保ちましょう。
- 腰が痛いとき:ベンチの角度が高すぎて体がずり落ち、足で踏ん張るために腰が反っていないか確認します。角度を少し下げ、胸をベンチに預け直してください。痛みが残る場合は中止し、医療機関に相談しましょう。
チェストサポートダンベルローとは
チェストサポートダンベルローは、インクラインベンチに胸を預けてうつ伏せの姿勢でダンベルを引く種目です。チェストサポーテッドロウ、インクラインダンベルローとも呼ばれ、英語では Chest-supported Dumbbell Row。広背筋を主働筋に、僧帽筋や上腕二頭筋も動員します。体幹で反動を使えないため、腰への負担を抑えながら広背筋を厳密に追い込めるのが特徴です。前かがみで行うダンベルローでは、上体を宙に保つ仕事を腰と体幹が引き受けます。この種目ではそれをベンチが代わりに引き受けるので、腰が先に疲れて背中に集中できない人の選択肢になります。よく似たシールロウとは、ベンチの角度が違います。
この種目で変わること
- 広背筋を中心とした背中の厚み・筋量の向上
- 反動を使えないことによる広背筋への的確な刺激
- 腰への負担を抑えながら引く力を鍛えられる
- 腰や体幹が先に疲れないため、背中の種目を続けて行う日でもセット数を確保しやすい
- ただし「腰痛があっても安全」とまでは言い切れません。腰を支える仕事は減りますが、うつ伏せの姿勢そのものがつらい人もいます。痛みがある場合は医療機関の判断を優先してください
まだ難しいときは
物足りなくなったら
似た効果の種目
長所・短所
この種目ならではの強み
- 一般的なベンチで腰を切り離せる:インクラインベンチさえあれば組める。腰を使わないロウの中では再現しやすい。
- 反動が使えず軽い重量でも効く:体を振って助けられない。数字が小さくても背中への刺激は残る。
- 疲れても姿勢が崩れない:台が角度を決めてくれる。セット後半でもフォームが一定に保てる。
弱みと、その付き合い方
- インクラインベンチが要る:角度を作れる台が必要。
こう付き合う:台がなければワンハンドダンベルロウで腰を守る。 - 胸が圧迫されて息が上がる:台に胸を押しつけた姿勢のため、高回数では呼吸が苦しくなる。回数を分けて息を整える。
- 体幹を鍛える要素がない:姿勢を支える仕事を台に任せるので、体幹への刺激は他のロウより小さい。
ひとことで:腰を切り離して背中だけを狙う。軽い重量で足りる。
よくある質問
- 通常のダンベルロウと何が違いますか?
- 胸をベンチに預けることで体幹の反動が使えなくなるため、広背筋への刺激をより厳密に集中させやすい種目です。腰への負担も少ないのが特徴です。
- シールロウとは何が違いますか? 同じ種目ですか?
- 胸を台に預けて反動を消すという狙いは同じですが、別の種目として扱われます。シールロウは高さのある平らなベンチにうつ伏せになり、上体を床と平行にして真上へ引きます。チェストサポートダンベルローは、30〜45度に起こしたインクラインベンチに胸を預けて引きます。シールロウは専用の高い台が必要で、ふつうのベンチでは腕を伸ばしたときにダンベルが床に当たります。インクラインベンチがあればすぐに組めるのが、この種目の利点です。
- チェストサポーテッドロウ、インクラインダンベルローなど、名前がいくつもあるのはなぜですか?
- 英語の Chest-supported Row の訳し方と、使う台の呼び方が人によって違うためです。チェストサポートロー、チェストサポーテッドロウ、インクラインダンベルロー、ベンチサポートローなどは、インクラインベンチに胸を預けてダンベルを引く同じ動作を指していることがほとんどです。ただし、専用のマシンで胸をパッドに当てて引く種目も同じ名前で呼ばれることがあります。
- 何回・何セットが目安ですか?
- 筋肥大目的なら10〜12回×3〜4セット程度が一般的な目安です。反動が使えない分、両手ベントオーバーダンベルローより軽めの重量になりやすい点は問題ありません。
- ベンチの角度は何度がいいですか?
- 30〜45度程度が目安です。角度を低くすると上体が床と平行に近づき、シールロウに近い引き方になりますが、ダンベルが床に当たりやすくなります。角度を高くすると体がずり落ちやすくなり、足で踏ん張る仕事が増えます。腕を伸ばしきってもダンベルが床に触れず、体がずり落ちない角度のうち、低いほうを選ぶと安定します。同じ角度で続けないと重量や回数の記録が比べられないので、決めた角度はベンチの目盛りで覚えておいてください。
- 肘を開いて引くのと、閉じて引くのはどちらが正しいですか?
- どちらも正しく、狙いが違います。肘を体に沿わせて腰の方向へ引くと、広背筋が働きやすくなります。肘を体から斜めに離して(真横までは開かずに)引くと、肩甲骨まわりや肩の後ろ側が働きやすくなると考えられています。このページの主な狙いは広背筋なので、まずは閉じた形から覚え、肩甲骨まわりを狙う日に開く形を使い分けるとよいでしょう。
- 腰が痛くならないか心配です
- この種目は胸をベンチで支えるため、通常のダンベルロウより腰への負担が少ない種目として知られています。腰に不安がある方にも比較的取り組みやすいですが、痛みが出る場合は医療機関に相談してください。
- インクラインベンチがありません。何で代わりになりますか?
- 片手と片膝をベンチにつくワンハンドダンベルロウが現実的な代わりです。片手で上体を支えるので、腰の負担は前かがみの両手ロウより抑えられます。ただし失われるものもあります。この種目のように胸で体を固定できないため、体をひねって引く余地が生まれ、反動を完全には消せません。マシンのあるジムなら、胸をパッドに当てるマシンロウも近い役割を担います。
- 効いているかどうか、どう判断すればいいですか?
- 胸がベンチから浮いていないか。引ききった位置で肩甲骨が寄っているか。戻したときに背中が伸びる感覚があるか。この3つが最後の1回まで保てていれば、狙いどおりに引けている可能性が高いと考えられます。ただしこれは動作の質を確かめる目安で、特定の筋の働きを保証するものではありません。腕ばかり疲れる場合は、肘を曲げる前に肩甲骨を寄せる順番を見直してください。
- 重いダンベルを持ったまま、どうやってベンチに乗ればいいですか?
- ダンベルを先にベンチの前の床に置いておき、ベンチにうつ伏せになってから拾い上げます。持ったまま乗ろうとすると、腰を丸めた姿勢で重さを支えることになり、この種目の利点が消えます。終えるときも、ベンチに胸を預けたまま床へ下ろしてから体を起こしてください。
- 女性でも取り組んでよい種目ですか?
- 性別を問わず取り組める種目です。背中の引き締まったラインを作りたい方にもおすすめです。軽い重量から肩甲骨の動かし方を覚えましょう。