NEUTRAL-GRIP PULL-UP
パラレルグリップ懸垂
背中(広背筋)
難易度:中級
🤸 自重
パラレルグリップ懸垂は、こう動かす
効く場所:広背筋・上腕二頭筋(あわせて働く:前腕筋群・僧帽筋)
外せない点:
- 持ち手の選び方
- 握り
- 体の向き
- 開始姿勢
- 引く前の準備
やり方
構えをつくる
- 持ち手の選び方:懸垂バーの両端などにある、平行に並んだ持ち手(パラレルグリップ)を使います。間隔が複数ある器具では、肩幅に近いものから始めます。ディップス用の平行棒とは別の器具です。目安:握った際に手首が不自然にねじれていない。
- 握り:親指を回して持ち手を深く握ります。握りが浅いと、引く前に前腕が疲れます。持ち手が太くて握りきれない場合は、パワーグリップなどの補助具を使ってもかまいません。目安:持ち手が手のひらの付け根側に乗り、指先だけでぶら下がっていない。
- 体の向き:持ち手の間に体の中心が来るように立ち、体をまっすぐ正面に向けてから握ります。片側に寄って握ると、引き上げる途中で体が回ります。目安:ぶら下がったとき、左右の手にかかる重さが同じに感じる。
- 開始姿勢:最初の1回は腕を伸ばした状態からぶら下がって始め、2回目以降は肘が伸びきる手前で折り返します。足は床から浮かせ、膝を軽く曲げて足首を組むか、脚をまっすぐそろえます。目安:肩がすくまずリラックスしてぶら下がれている。体が前後に揺れていない。
- 引く前の準備:腕を曲げる前に、肩を耳から遠ざけるように下げ、胸を少し張ります。この準備で体が数cm持ち上がれば正しくできています。目安:肘が伸びたまま、首が長く見える姿勢になっている。
引き上げる・下ろす
肩甲骨を下げてから、胸を持ち手の高さへ近づけるように体を引き上げます。肘は体の横から足の方へ引き下ろす意識で動かします。あごが持ち手の高さを越えたら一瞬止め、肘が伸びきる手前まで2〜3秒かけて下ろします。伸びきる手前で折り返すのは、下で力が抜けて肩がすくみ、次の1回が反動になるのを防ぐためです。下ろした位置でも肩は軽く下げたままにします。引き上げる途中で、持ち手は顔の横を通ります。顔を前に突き出すと持ち手の高さに届いたように見えるので、あごは軽く引いておきます。
呼吸:引き上げながら息を吐き、下ろしながら吸う
目安:体が大きく振れず、肩がすくんでいない。あごを突き出して高さを稼いでいない
回数・重さの目安
- 筋肥大:6〜10回×3〜4セット 順手の懸垂よりやや力を出しやすい握りですが、回数より動く範囲と下ろし方の質を優先します。
- 筋力:3〜5回×4〜5セット 自重で10回以上続けられるようになったら、ディップベルトなどで重りを足し、3〜5回で限界が来る重さにします。
- 引き締め・持久力:できる範囲で多く×2〜3セット フォームが崩れる手前で終える。毎回同じ動く範囲で数えた回数を記録します
- 伸び悩んだときの進め方:重さ以外に4本の軸がある ①あごが持ち手を越えた位置で止める時間 ②下ろす速さ(3〜5秒) ③毎回、肘が伸びきる手前まで下ろせているか ④1セットで反動なしにできる回数。回数が止まったら、最後の数回で体が揺れていないかを先に確かめてください。反動で稼いだ回数は、次の週の比較に使えません。
安全とマナー
- 持ち手とバーが確実に固定されていることを確かめてから使う。ドア枠に取り付ける器具は、取り付け部の強度を毎回確認する
- ゴムバンドで補助するときは、バンドを足や膝にしっかり掛けてから体重を預ける。外れるとバンドが跳ねて体に当たる
- 足が届かない高さのバーでは、踏み台を使って乗り降りする。踏み台は動作中に脚が当たらない位置へ離しておく
- セットの終わりは、腕を伸ばしきってから足を床に下ろす。途中で手を離して飛び降りない
よくある間違いと直し方
- 体を大きく振って反動をつける(キッピング):反動を抑え、肩甲骨から引く意識に戻す。反動が必要な重量・回数は追わない
- 動く範囲が浅く、あごが持ち手を越えない:肘が伸びきる手前まで下ろし、あごが持ち手の高さを越えるところまで引く。届かない回は数えない
- 肩がすくんで首が埋まる:引き始める前に肩甲骨を下げる意識を持つ
- 背中より腕ばかり疲れる:手で引き寄せる意識が強すぎます。握りは深く、力は抜き気味にし、肘を足の方へ引き下ろす意識に変えます。握力が先に切れる場合は補助具を使います
- あごを突き出して高さを稼ぐ:首を伸ばして届かせても背中の仕事は増えません。あごは軽く引いたまま、胸を持ち手に近づけます
- 脚を前に振り出して体が反る:脚の反動で高さを稼いでいます。脚をまっすぐそろえて少し前に出し、お腹に力を入れたまま引きます
- 左右で高さがずれる、片側に体が回る:弱い側の腕が遅れています。回数を減らしてでも、左右の肘が同じ速さで曲がる範囲で行います
- 引き上げた位置で肘が体の前に出る:腕だけで持ち上げている形です。胸が持ち手に近づかず、あごだけが越えている場合に多く見られます。肘を体の横から足の方へ下ろす通り道に戻します
- 下ろす途中で急に落ちる:下ろす局面で力を抜いています。下ろしに2〜3秒かけ、肘が伸びきる手前まで背中の張りを保って下ろします
痛みが出たときは
- 肘が痛いとき:握りを深くし、下ろしきった位置で肘をロックする勢いで落とさないようにします。持ち手の間隔を変えられる器具なら、楽な間隔を試してください。痛みが続く場合は整形外科などの医療機関に相談してください
- 肩が痛いとき:反動を使わず、肩甲骨を下げてから引く動きに戻します。下ろした位置で肩まで脱力していないかも確認してください。痛みが続く場合は医療機関に相談してください
- 首が痛いとき:あごを突き出して持ち手を越えようとすると、首の後ろに力みが出ます。あごを軽く引き、届く高さまでで止めてください。痛みが続く場合は医療機関に相談してください
- 前腕・手首が痛いとき:握りが浅いと前腕に負担が集まります。深く握り、必要なら補助具を使います。痛みが続く場合は医療機関に相談してください
パラレルグリップ懸垂とは
手のひらを向かい合わせにして行う懸垂です。パラレル懸垂、パラレルグリップチンニング、ニュートラルグリップ懸垂とも呼ばれ、英語では Neutral-grip Pull-up。握り方が金づちを持つ形に近いことから、ハンマーグリップ懸垂と呼ばれることもあります。順手で行う懸垂(このサイトでは「懸垂(チンニング)」と呼んでいます)と、チンアップ(逆手懸垂)の中間の握りで、肩や肘への負担を抑えながら力を出しやすいとされます。背中の広背筋と腕の上腕二頭筋が主に働き、前腕の親指側の筋肉(腕橈骨筋)も働きやすい握りです。平行に並んだ持ち手が付いた懸垂バーが必要で、持ち手の間隔は器具で決まります。持ち手の間隔は器具で決まり、多くの器具では1〜2通りしか選べません。そのため、手幅ではなく、引く高さと下ろし方で強さを調整する種目です。
この種目で変わること
- 広背筋・上腕二頭筋の強化:順手・逆手の中間的な刺激が入ります
- 肩・肘への負担を抑えやすい:手首をどちらにもひねらない握りのため、順手や逆手で違和感が出る人でも続けやすいとされます
- 前腕の強化:腕橈骨筋など、前腕の親指側の筋肉も働きやすい握りです
- 記録を比べやすい:手幅が器具で決まるため、握る位置が日によって変わらず、回数の伸びをそのまま比べられます
- 懸垂習得の入り口:順手の懸垂よりも力を出しやすい握りのため、懸垂に慣れていない人の導入にも向きます
- ただし「関節を痛めない」「背中の厚みがつく」とまでは言い切れません。握りを変えても、反動や急な下ろし方をすれば肩や肘に負担はかかります
まだ難しいときは
物足りなくなったら
長所・短所
この種目ならではの強み
- 順手より力を出しやすい握り:手のひらを向かい合わせにすると引き上げやすい。最初の1回に届きやすいとされる。
- 肩と肘の負担が分散される:手首をどちらにもひねらない。順手や逆手で違和感が出る人の選択肢になる。
- 背中と腕をバランスよく使える:順手と逆手の中間的な関与になる。どちらかに偏らない。
弱みと、その付き合い方
- 対応したバーがないと成立しない:平行の握りが付いた懸垂バーが要る。鉄棒だけでは行えない。
こう付き合う:無い場合はラットプルダウンのパラレル持ち手で。 - 広がりづくりでは順手に譲るとされる:持ち手の間隔が器具で決まるので、広い手幅で引く刺激は入れにくい。背中の広がりに差が出るかは議論がある。
- 楽なぶん物足りなくなるのも早い:力が出やすい握りのため、同じ回数でも刺激が軽いと言われる。回数が伸びたら懸垂(チンニング)へ。
ひとことで:肘や肩に不安があるなら、懸垂はここから始める。
よくある質問
- パラレル懸垂、ニュートラルグリップ懸垂、ハンマーグリップ懸垂は同じものですか?
- 同じ種目です。いずれも手のひらを向かい合わせにして行う懸垂を指し、握り方の呼び方が違うだけです。順手で行う懸垂(このサイトでは「懸垂(チンニング)」と呼んでいます)や、チンアップ(逆手懸垂)とは、握りの向きが違います。
- 懸垂(チンニング)・チンアップ(逆手懸垂)とどちらを優先すべきですか?
- どれも背中の筋肥大に有効な種目です。パラレルグリップは関節への負担を抑えながら力を出しやすいため、懸垂に慣れていない方や関節に不安がある方の選択肢として適しています。広い手幅で引きたいなら順手の懸垂、腕も一緒に鍛えたいならチンアップ(逆手懸垂)、という使い分けができます。
- パラレルグリップの持ち手がない場合はどうすればいいですか?
- ラットプルダウンに平行の持ち手(パラレルグリップのアタッチメント)を付ければ、近い角度で引けます。ただし座って太ももを固定するため、自分の体重をぶら下げて支える仕事は失われます。V字の持ち手を懸垂バーに掛けて行う方法もありますが、手の間隔が狭く、頭がバーに当たらないよう左右どちらかに顔をずらして引く必要があります。ハンドルが滑ったり外れたりしないよう、バーにしっかり掛かっているかを毎回確かめてください。
- 1回もできません。どう始めればいいですか?
- ラットプルダウンやインバーテッドロウ(斜め懸垂)で引く力を養ってから、アシスト懸垂マシンやゴムバンドで補助した懸垂、下ろす動作だけを3〜5秒かけて行う練習へ進むのが一般的です。インバーテッドロウ(斜め懸垂)は、体を立てるほど軽く、床と平行に近づくほど重くなるので、段階を細かく刻めます。まず、腕を伸ばしてぶら下がり、肩を下げた姿勢を10秒保てるかを確かめてください。
- 持ち手の間隔が広いものと狭いものがあります。どちらがいいですか?
- まずは肩幅に近いものを使います。狭い間隔は肘が体の前で動きやすく腕の関与が増え、広い間隔は肘が体の横で動きやすくなると考えられています。どちらかが明らかに優れているわけではないので、肘や肩に違和感が出ない間隔を選んでください。
- 効いているかどうか、どう確かめればいいですか?
- セットの後に、わきの下から背中の横にかけて張りがあれば背中が働いています。前腕だけがパンパンで背中に何も感じない場合は、握りと引く方向を見直してください。前腕の親指側に多少の張りが出るのは、この握りでは自然なことです。
- 体重が重くて回数が伸びません
- 体重が重いほど、同じ回数でも負荷は大きくなります。回数ではなく、下ろす速さや、あごが持ち手を越えた位置で止める時間を記録すると、回数が伸びない時期でも進歩を確かめられます。
- 毎日やってもいいですか?
- 高回数を毎日続けると、肘や前腕に疲れがたまりやすくなります。背中を狙う日を週2〜3回に決め、その間は休ませるほうが続けやすいでしょう。筋肉痛が残っている日は、ぶら下がる練習だけにとどめる方法もあります。
- 重りを足すときの注意はありますか?
- ディップベルトに重りを下げるか、足でダンベルを挟みます。足で挟む方法は軽い重さに限り、ダンベルが落ちて足や床に当たらないよう注意します。重りが揺れると体も振れるので、ぶら下がってから引き始めるまで揺れが止まるのを待ちます。重りを足した回数と自重の回数は、分けて記録してください。
- 握力が先に切れてしまいます
- パワーグリップやストラップなどの補助具を使ってかまいません。握力を別に鍛えたい場合は、懸垂とは別に、ぶら下がるだけの練習を加えます。
- 何回・何セットが目安ですか?
- 筋肥大目的なら6〜10回×3〜4セットが目安です。反動を使わず、毎回肘が伸びきる手前まで下ろせた回数で数えてください。